皇居・宮殿での昼食会に臨まれる天皇陛下=9日午後(代表撮影)

 天皇陛下の退位を実現する特例法が9日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。政府は2018年12月の退位と、新天皇の即位を想定。元号改正を19年元日とする案を検討している。約200年ぶりの逝去によらない代替わりで、陛下は「上皇」、皇后さまは「上皇后(じょうこうごう)」となる。昨年8月の陛下によるビデオメッセージを契機とした異例の法整備は、有識者会議や与野党による議論を経て結実した。

 「女性宮家」創設や皇位継承の安定化策などはなお課題として残る。政府は退位への準備を本格化させるとともに、退位後の活動の在り方なども検討する方向だ。

 明治以来の終身在位制に例外を認める特例法は、新天皇になる皇太子さま以降は適用されない。恒久化を求める声を踏まえ、政府は「先例になり得る」とする見解を示している。採決では投票総数235の全てが賛成で、自由党は棄権した。

 安倍晋三首相は成立後、官邸で記者団に「遺漏なきよう施行に向けて準備を進める」と述べた。

 上皇は再び皇位につく資格や、国事行為を代行する摂政の就任資格がない。新天皇即位で皇位継承順1位の「皇嗣(こうし)」となる秋篠宮さまの皇族費は、皇太子と同等の待遇になるよう現行の3倍に増額する。新たな呼称(称号)は設けていない。

 施行は公布日から3年以内に政令で定める日とした。陛下は「施行の日限り」で退位し、皇太子さまが「直ちに」即位する。政令を定める際、首相に皇室会議への意見聴取を義務付けた。特例法は16日にも公布される。

 新天皇の即位に伴い適用される新元号は、国民生活への影響を避けるため事前発表の方向で調整する。来年12月の退位の場合、同年夏にも発表が見込まれ、退位日決定と同時期の可能性もある。

 特例法を審議した衆参両院の委員会では、法施行後速やかに「女性宮家」創設などを検討するよう政府に求める付帯決議がそれぞれ採択された。政府は退位までは準備を優先させる構え。女性宮家には「女性・女系天皇の容認につながる」との慎重論が根強く、皇位継承の安定化策と切り離す形が見込まれる。

 退位に向けては陛下と皇后さまの住まいや、お世話を担当する「上皇職」の編成などを調整する。象徴としての行為は全て新天皇に譲られる見通しで、象徴の二元化を招かない観点から活動の在り方を検討する見通しだ。【共同】

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