2023年の国民体育大会・全国障害者スポーツ大会の開催を見据え、佐賀県が事前準備に力を注いでいる。大会成功の基盤となるのは、施設整備や選手の強化育成。あと6年あるとはいえ、短期間では成し遂げられないものも多い。大会を一過性のイベントに終わらせることなく、地域の活力を生み出すという目標の実現に向けて着実に前進したい。

 「いま進めているのは国体の37競技ごとの開催地の選定。競技団体、市町の意向をもとに調整中で、6月に1次内定分を発表する予定」-。県国体準備室の担当者は、開催市町が決まることで施設整備などの課題が浮き彫りになり、大会に向けた県民の興味関心も高まっていくと強調する。

 終戦翌年に始まった国体は1987年の沖縄で全国を1巡し、2巡目に入っている。佐賀は今回、2013年に招致に名乗りを上げ、翌年に開催県の内々定を得た。1976年の若楠国体から47年ぶりの開催となる。

 県は3月、メイン会場となる県総合運動場周辺の整備基本計画をまとめた。国体後も県民がスポーツや文化に親しむ拠点とする方針で、プロスポーツの試合やコンサート開催を想定した観客席6千席以上のアリーナを新設。国体の施設基準を満たすため、陸上競技場に雨天走路を設け、水泳場は50メートルの屋外プールを屋内化する。

 このほか施設をつなぐ高架の歩行者用デッキを整備。アリーナ近くにはカフェやスポーツショップなどの入居を想定したテナント棟も設置する。本年度から2年間で設計し、22年度のプレ大会までに完成させる予定で、財源は国の補助制度を活用し、ネーミングライツ(施設命名権)も検討する。

 もう一つの柱となる選手の強化育成に関しては、県競技力向上対策本部が昨年2月に発足。選手の発掘や指導体制の確立、練習環境整備などを盛り込んだ基本計画に沿い、長期的視点で始動している。例えば国体開催時に少年種別の選手となる小学3~6年生をターゲットエイジと位置付け、強化指定選手を認定。選手の潜在能力を再発見し、より高いパフォーマンスが期待できる競技種目への転向を見据えた選考会も始める。

 ほかにも指導力強化のためのスポーツアドバイザーの新設など多角的な取り組みで、現在40位台に低迷している国体の天皇杯順位を段階的に引き上げる考えだ。

 国体ではこれまで開催県が天皇杯優勝を強引に目指す手法が批判されてきた。一方で大会の盛り上がりに地元選手の活躍が欠かせないのも事実。選手にとって国体の入賞は大きな目標であり、それが地元開催となれば喜びもひとしおだろう。こうしたことも踏まえ、山口祥義知事は「真っすぐに、佐賀らしい戦いで1位を目指したい」と答えている。

 県は今回、国体と障害者スポーツ大会の基本構想を全国で初めて一つにして作成した。年齢や性別、障害の有無にかかわらず、住み慣れた地域で暮らせる共生社会を推進したいという思いが根底にあり、スポーツには地域の一体感を生む力があると強調している。

 両大会には合わせて約2万8千人の選手団が参加し、県民との交流の場ともなる。「佐賀方式」と呼べるような知恵と工夫で大会を成功に導きたい。(杉原孝幸)

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