■若者の志向変化も背景

 起業家を目指す人材育成を支援する動きが各地で広がっている。地域活性化の起爆剤にしようと、福岡市は12日、中心市街地の廃校を活用した創業支援施設を新たにオープンした。手厚い支援態勢を整えてベンチャー企業を誘致し、新規ビジネス創出を促すのが狙い。若者の就職意識が大企業重視から起業家志向へと変化しつつあることも支援活発化の背景にある。【共同】

■チャレンジャー■

 「挑戦することが尊敬される文化をつくり、福岡から日本中に発信する。どんどんチャレンジャーが集まり、世界規模(の事業)を実現できる町にしたい」。福岡市の高島宗一郎市長は12日、新施設「FUKUOKA growth next」の開設式典で拠点整備の意義をこう説明した。

 IT企業や不動産賃貸大手ら3社と共同で運営。投資会社や金融機関の力も借りて、起業家の資金調達の支援や、起業への教育プログラムも提供する。

 市は雇用創出を促す政府の「国家戦略特区」に選ばれ、2014年10月にも起業支援の拠点となる「スタートアップカフェ」を設置した。起業に向けた情報提供や事務手続きの支援は無料で提供され、17年3月末までに95社が起業を実現した。

 市の担当者は「これほど充実した機能はうちだけ」と自信を示す。福岡市周辺で起業した会社の割合を示す開業率は08年度の5・47%から15年度は7・04%に上昇した。

■誘致合戦■

 起業支援に関しては、各地の自治体がそれぞれ知恵を絞る。全国でも学生に占める留学生の割合が高い大分県は、有能な人材を活用しようと16年10月に同県別府市に留学生を対象とした施設を開設。関心を持つ留学生に企業担当者との情報交換会や就労ビザの取得方法などを情報提供する。

 三重県や広島県、佐賀県など各地の自治体が地域の垣根を越えて起業家を増やす目的の協議会を設置したほか、沖縄県沖縄市も16年8月に支援の拠点を開設。起業家を巡る誘致合戦の様相を呈している。

■多様化■

 自治体などの動きと呼応する形で、大学側にも支援の動きが出始めている。関西大は16年10月に大阪・梅田のキャンパス内に専用拠点を設置。書籍販売などの「TSUTAYA」と共同で、学生と社会人の両方を対象にしたセミナーを開催したり、ベンチャー企業経営者や金融機関が資金調達の方法や事業計画の立て方を指導したりしている。神戸市も関西学院大などと連携し、類似の施設を開設した。

 大学関係者は「就職活動の在り方も多様化している。大企業を志望するばかりでなく、起業したい学生もいる。こうした思いもくみ取り、後押ししたい」と強調した。

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