ミカンなどの果樹の防除技術改良と普及に貢献し、農業技術功労者表彰を受けた上場営農センターの田代暢哉所長=唐津市の同センター試験農園

 ミカンなどの果樹の病害虫対策技術の改良や普及に貢献したとして、佐賀県上場営農センター(唐津市)の田代暢哉所長(60)が、農水省の農業技術功労者表彰を受けた。根拠に基づいた防除技術を提唱し、薬剤使用量を減らして環境や農家経営への負担軽減に務めてきた功績が評価された。「農家をはじめ現場の皆さんの協力でいい研究ができた」と感謝している。

 佐賀県は全国5位のミカン産地。かんきつ類の栽培は多種多様な病害虫との闘いで、特に九州に多い雨は病気を誘発し、薬剤を流出させる天敵だった。

 田代所長は県果樹試験場(小城市)の病害虫研究室長だった23年前、ポリ容器を改良した雨量計を自作。若手農家に防除適期の判断や雨量に応じた薬剤散布量の調整を指導した。「カレンダー通りでは、難しい気象条件に対応できない上に無駄も増える」と、全国一律の「栽培ごよみ」や勘に頼る意識を変えた。

 熱心な研究で散布方法にも光を当てた。かつて薬剤は噴霧するのが効率的とされていたが、一向に効果が上がらないと訴える現場の声を受けて調査を開始。細かい霧だと、薬剤分子が軽いために風で飛ばされて葉に付着していないことを突き止め、散布用ノズルを改良した。

 薬剤を隅々まで届くようにすることで、使用量を半分にしても病害発生を効果的に押さえ込むことができることを確認し、コスト削減や農家自身が浴びる薬剤量の低減にも貢献した。

 このほか、薬剤抵抗性のダニをマシン油乳剤で物理的に殺虫する技術や、収穫後の果実の腐敗対策なども研究。メーカーが後に商品化したり、基礎的な技術として普及したものも少なくないという。

 「農家には長年の経験がある。やり方を改めてもらうには、理論の正しさを延々説くよりも、現場の農家の協力を得て数多くのデータを集めて実証し、納得してもらうことが大事」と田代所長。38年のキャリアで貫いた現場主義の積み重ねが実を結んだ。

 表彰式は16日に東京都で行われた。

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