■60代以上が9割超

 熊本地震で避難中の体調悪化などで死亡し「震災関連死」と認定されたケースは、熊本、大分両県で0歳から100歳代の男女170人に上り、うち車中泊を経た後に死亡した人が少なくとも41人(約24%)、病院の被災に伴う転院後に死亡した人も同様に26人(約15%)いることが12日、分かった。市町村の発表を共同通信が集計・分析した。 車中泊のケースは、エコノミークラス症候群が疑われる6人を含む。余震への恐れやプライバシーを保ちたいという意識もあったとみられるが、健康リスクへの注意が必要だ。年代別では60代以上が9割を超え、高齢者や持病があるなどの災害弱者への配慮も求められる。

 昨年4月の熊本地震の犠牲者は、建物の下敷きになるなどした直接死の50人と、同6月の大雨で地盤が緩んだ土砂に巻き込まれて死亡した5人を含め、12日現在で計225人。関連死認定は、直接死の3倍強となった。地震後に精神疾患を発症し自殺した4人も含む。一部は遺族の意向などから性別や年代、死亡の状況が公表されていない。

 車中泊は「車内で急性心筋梗塞を起こして死亡」「5月まで車中泊を続け、自宅に戻った翌朝に心臓疾患で死亡」などの例があった。いずれも自宅の被災などから車中泊をし、環境の変化に伴う肉体的、精神的な負担を認定された。

 転院は、入院中の病院が被災し、停電や断水、施設や医療機器の損壊などで必要な治療が受けられなくなったケースが大半。2度の震度7の揺れごとに転院を強いられるなど、複数回転院したケースもあった。

 関連死が認定された人は、判明している範囲で、男性88人、女性76人。年代別では多い順に80代が62人、70代の36人、90代の32人と続く。50代以下は12人。100歳代の女性や転院後に死亡した4歳女児のほか、車中泊をした女性から切迫早産で生まれ、3週間後に死亡した新生児もいた。【共同】

■危険性、教訓風化

 広瀬弘忠・東京女子大名誉教授(災害リスク学)の話 大勢が一緒に暮らす避難所に比べ、車中泊はプライバシーが保たれるなどの利点はあるが、そうした部分が過大評価され、危険性が看過されている。車中泊はエコノミークラス症候群につながるとして以前から問題化しているのに、教訓が時とともに風化しているのは残念だ。近年の地震と比べ、今回、関連死が占める割合が高いが、必要な対処があれば助かった人もいるはずだ。医療機関は耐震化も含め、業務継続のための備えを強化しなければならない。【共同】

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