玄海原発再稼働に関し、議員からの質問に答える九州電力の山元春義取締役(中央)=9日、県議会

 九州電力玄海原発3、4号機の再稼働に関し、佐賀県議会原子力安全対策等特別委員会(竹内和教委員長、11人)は8、9の両日、国の関係機関と九電を参考人招致し、エネルギー政策、原子力防災、新規制基準の適合性審査、九電の安全対策の4分野で質疑を行った。やり取りの要旨を紹介する。

■エネルギー政策

 岡口重文議員(自民) 再稼働に関わる地元手続きについて、法令には定められていない。改めて法制化するなどの対応を国としても検討すべきではないか。

 小澤典明・資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官 地元理解のプロセスはエネルギー基本計画に基づいて進めている。原発立地地域は全国にあり、それぞれ実情が異なる。一律に手続きを決めるのではなく、各地の皆さまとコミュニケーションを取りながら理解の進め方をつくっていくのが適切だろう。

 向門慶人議員(自民) 使用済み核燃料をどうするかということについて、交付金制度の見直しによる自治体の支援拡充をどう考えているか。

 小澤 乾式貯蔵施設を導入した場合、プールの貯蔵に比べて単価を倍にするという交付制度に現在修正をし、昨年度から導入している。事業者がそういった計画を進め、乾式貯蔵施設ができた場合は自治体にもメリットが大きくなる。

■原子力防災

 向門 福島の事故では発電所内の事故対策で官邸の政治介入があり、混乱をきたしたという報告が上がっている。重大事故時の首相の役割はどのように規定されているか。

 山本哲也・内閣府政策統括官(原子力防災担当) 住民避難など発電所外の意思決定権は全て、原子力災害対策本部長の首相にある。しかし、発電所の中の対策は極めて技術的なので別途対策がなされており、政治が口を出すようなことはない。

 佐藤暁・原子力規制庁原子力災害対策・核物質防護課長 原子力災害対策特別措置法には、首相は施設の安全確保のことについては指示はできないとしっかり書き込んでいる。

 向門 福島の事故ではオフサイトセンターは使えなかった。唐津のオフサイトセンターが使えない場合どうするのか。

 山本 代替のオフサイトセンターとして、約50キロ離れた佐賀県庁と、約66キロ離れた長崎県大村市の消防学校を指定している。

 向門 避難計画については最終的に国が了承されたと聞いているが、国の責任はどうなっているのか。

 山本 国が原子力防災を担うのは当然だが、各県市町にも一定の責務という形で担っていただく。自治体に計画を任せるだけでなく国も実効性を確認する。

 藤崎輝樹議員(県民ネット) 避難計画に関する実効性の認識は。

 山本 訓練で実効性を検証し、その他については政策や予算措置で対応するのが基本になる。現時点では最適の計画と考えているが、常に改善していく謙虚な態度が重要だ。

 藤崎 今後課題になる点はどのようなものか。

 山本 情報伝達や避難経路など、複数の対策をあらかじめ用意し、状況に応じて最も適切なものを選択するのが基本。考えられるさまざまな対策を用意し、使えるものを使っていく観点からも終わりはない。

 藤崎 避難では介護に従事する方やバス会社など、民間の協力が必要。ある意味負担を強いる状況も生じると思うが、国の見解は。

 山本 民間の方々については、バスの運転手には研修事業をやっているが、介護の方々にも知識の普及は大事だと思っている。さまざまな研修会、説明する機会を通じて理解をお願いし、協力していただく形に持っていければと思う。

■適合性審査

 大場芳博議員(自民) 新規制基準に適合すれば、福島事故のような事態に至らないと言えるのか。

 市村知也・原子力規制庁安全規制管理官 福島のような事故の発生の可能性は非常に小さくなっているといえるが、安全の追求は続けなければならない。

 大場議員 使用済み核燃料の保管について、田中俊一委員長は乾式貯蔵の優位性に言及しているが規制委の公式見解なのか。

 市村 例えば川内原発は元々(核燃料の間隔を詰めて貯蔵プールの容量を増やす)リラッキングがされていて今回の審査の対象になっており、許可を出している。リラッキングが一概に駄目だということではなく、技術的な基準に合致していれば許可の対象になるというのは変わりない。乾式貯蔵は福島第1原発にあったが、事故後に調べても大きな問題はなかったということで、田中委員長もしっかり考えてもらってはどうかと申し上げている。玄海原発については(リラッキング前の)今の状況で許可した。今後違う方式を申請するのであれば、厳格に審査をしていく。

■九州電力

 井上常憲議員(自民) 乾式貯蔵施設について、どのように考えているか。

 山元春義・九電取締役 今はプールに核燃料を入れており、水は冷却する力が非常に強いのでたくさんの燃料をしっかり冷却できる。乾式貯蔵は「空冷」なので水がいらない。特殊な容器に入れるので簡単に取り出すことができず、セキュリティー対策も容易だ。ただ、唯一のデメリットは取り出したばかりの燃料は熱すぎて入れることができないこと。今の予定で玄海のものを入れるなら15~20年ほど冷やし、プールと乾式を併用せざるを得ない。

 井上祐輔議員(共産) 2011年に起きた「やらせメール問題」は、電力会社として国民の信頼を失墜させたと思う。

 山元 一歩一歩、いい会社運営をできるように全社を挙げて取り組んでいる。失った信頼は非常に大きい。住民の皆さまに理解活動を進めているところで、今後も活動で得たいろいろな情報をもとに、信頼を少しでも向上できるよう頑張っていきたい。

 井上祐 九電は1月末に原子力発電本部長に中村明常務執行役員を起用すると発表した。やらせメール問題を調査する過程の中で、玄海原発3号機のプルサーマル発電導入に関する資料を破棄する指示を出した張本人だと思うが。

 山元 本人は社内的にも社会的にもいろいろ反省し、わが社の原子力を引っ張っている。4月から原子力発電本部長として頑張ってくれると思う。

=考・玄海原発再稼働=

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