古代ローマ時代、元老院と全面対決することになったカエサル(シーザー)が軍隊を率いてガリアとイタリア国境のルビコン川を渡る。その時に「賽(さい)は投げられた」と語ったことは有名だ。賽はサイコロのことで、人の運命を決する際に比喩(ひゆ)として使われてきた◆サイコロは紀元前3千年ごろに古代文明を興した民族が、それぞれ独自に作り出したのではないかといわれている。そこから出た言葉の一つに「裏目」がある。サイコロの目はどの面も奇数と偶数が、表と裏で組み合わさっている。そこから、やったことの結果が予想と逆になることを「裏目に出る」という◆まさに賭けが裏目に出て代償を払うことになったのは、英国のメイ首相である。下院総選挙で与党保守党が過半数を割った。選挙の前倒しを表明した4月ごろは保守党圧勝のムードだったのに…。わざわざ選挙に打って出たのは、大勝し国民の後ろ盾を得てEU(欧州連合)との厳しい離脱交渉を乗り切るためだった。でも目論見ははずれた◆政治の世界は分からないもの。求心力を失ったメイ氏の政権運営は綱渡りとなり、EUとの離脱交渉を迷走させかねない。英国に拠点を置く日本企業にも影響が及びそうな雲行きだ◆振られた賽はコロコロところがり、これからどんな目が出るのか。英国とEUから目が離せない。(章)

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