Q.佐賀、長崎両県の高校生が検察官と弁護士に分かれ、模擬裁判を行ったと聞きました。どのような様子だったのでしょうか?

 A.8月25日、佐賀地方裁判所で「第2回佐賀・長崎対抗高校生模擬裁判選手権」が開かれました。

 高校教師が覚せい剤所持の被告人として起訴された架空の刑事事件について、佐賀県代表の佐賀西高生が検察官役、長崎県代表の純心女子高生が弁護人役となって、被告人の有罪・無罪を激しく争いました。

 売人らしき男性と被告人が会話をしている現場を見たという目撃証人、かばんの中の覚せい剤は自分のものでないと主張する被告人。高校生たちは、自分たちで考えてきた質問をこの2人にぶつけては、有罪、無罪に結び付く話を聞き出せないか、法廷で頭をフル回転させ続けました。裁判の最後には、証拠書類や尋問の内容を踏まえ、両校がそれぞれ有罪、無罪に向けての意見を披露しました。

 裁判官、検察官、弁護士の法曹三者と司法修習生、報道記者、大学生で構成された審査員は、凛(りん)とした姿で被告人の無罪を訴え続けた純心女子高の勝利としましたが、裁判全体を通して最も印象に残る働きをしたMIPには、弁解を続ける被告人を追い詰めた尋問担当の佐賀西高の生徒が選ばれました。両校の生徒とも、法律家の私たちがなかなか思い付かない発想と手法で、事件を深く掘り下げてくれたと実感しています。

 この高校生模擬裁判は、法曹界が進める法教育活動の一環として行われたものです。最終的な判決結果という「解答」だけを求めるのではなく、一つの事実(事件)について複数の考え方や見方(有罪・無罪)があるということを認識してもらい、どちらの結論に至るにしても、そのプロセスとなる理由を論理的に説明できるようになることを目的としたものです。

 参加した生徒たちにとって、今回の経験が将来、何らかの形で役立ってくれたらと思う一方、もし彼ら、彼女らが私たちの同業者になったら何と手ごわい相手になるのだろうと少しばかりの不安も覚えた、そんな夏の一コマでした。(弁護士 安永治郎 佐賀市)

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