公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年度の運用損失が約5兆3千億円だったことが28日、分かった。

 GPIFは14年10月に株式の運用割合を増やしており、昨夏や年明けからの株価下落が響き、5年ぶりの赤字となった。損失額はリーマン・ショックを受けた08年度より後では最大。GPIFが29日に発表する。

 政府とGPIFは、市場運用を始めた01年度から累積では約45兆円の運用益を確保していることを強調。「年金積立金は長期的な視点で運用しており、短期的な変動にとらわれるべきではない」としている。

 GPIFは14年10月、積立金を株価浮揚に活用したい政府の意向も踏まえて運用資産の構成割合を変更した。国内外の株式の目安を計50%に引き上げたため、15年度は株安の影響を大きく受けて損失が膨らんだ。

 株式市場は本年度に入ってからも、株価が乱高下するなど不安定な状況。国内債券でも利益を得ることが難しくなっており運用環境は厳しい。

 今回の運用実績の発表は例年より3週間ほど遅く、野党は「参院選前に損失を明らかにしたくなかった政権の情報隠しだ」と批判している。【共同】

 ■年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 国民年金や厚生年金の保険料収入の余剰分を積立金として管理し、市場に投資して運用する。厚生労働省の所管で2006年に設立された。前身は年金資金運用基金。債券や株式などにどうお金を振り分けるかという資産構成割合は、外部の専門家らで組織する運用委員会で協議して理事長が決める。政府は理事長に権限が集中する体制を改め、重要事項は合議制で決めることなどを盛り込んだ年金関連法案を先の通常国会に提出したが、継続審議となっている。

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