佐賀大会で初優勝を果たし、笑顔で応援スタンドに向かう早稲田佐賀ナイン=みどりの森県営球場

 第99回全国高校野球選手権大会は台風の影響で順延され、8日、兵庫県の阪神甲子園球場で開幕する。47都道府県の代表49校(東京、北海道は2)が出場。佐賀県からは開校・創部8年目の早稲田佐賀が春夏通じて初の甲子園に挑む。佐賀大会で見せたチーム一丸の全力プレーで躍進してほしい。

 「できることなら攻撃的に。甲子園の大舞台でどんどん動き、暴れ回りたい」。早稲田佐賀の古賀一則監督(37)の言葉だ。創部8年目の出場は部員らの努力の結晶だが、県内41校のうち半数以上がいまだに夏の甲子園の土を踏めていないことを思うと、恵まれていると言ってもいいだろう。

 今年の佐賀大会は7月8日に開幕。雨天順延は1日だけで順調に試合が進んだ。各校の戦力が接近し、シード4校が準決勝を前に全て敗退したのは2000年以来17年ぶりで、本命なき混戦を早稲田佐賀が一気に駆け上がった。

 優勝の原動力は複数投手による継投策だ。森田直哉、安在悠真、松隈晴基の3選手がマウンドで奮闘。先手先手で点を奪い、試合の主導権を握った。プロ野球でも継投の難しさを感じる時があるが、3選手が自分の役目をよく知り、どんな場面にも対応できるように準備していたということだろう。

 もう一つの特徴は共同生活だ。部員47人中41人は付設寮「八太郎館」で暮らし、そこで培われた無類のチームワークが力となった。佐賀県出身者は少ないが、全国から集まった部員たちは風光明媚(めいび)な唐津の地を第二のふるさととして誇りに思っているようである。

 夏の全国高校野球は1915年に始まっている。来年の100回記念大会に向けてその歩みをたどる企画もめじろ押しだが、これまで深紅の大優勝旗を手にしたのは27都道府県の代表校だけ。20県は一度も優勝がなく、佐賀商(1994年)、佐賀北(2007年)と2度の全国制覇を果たしているのは佐賀県民として誇らしく、うれしい限りである。

 ただ、このところ県代表はやや苦戦している。佐賀北の全国優勝以降、この9年間で初戦突破は3回。古川侑利投手(現プロ野球楽天)を擁し、開校114年目で挑んだ有田工が1勝を挙げた13年以降は初戦敗退が続いている。特待生制度などがよく話題に上るが、私立の強豪校の戦力強化はすさまじく、今回出場校のうち公立は波佐見(長崎)など8校だけだ。

 早稲田佐賀は大会3日目、宮崎県代表の聖心ウルスラ学園と対戦する。東京大会で早稲田実・清宮幸太郎選手の高校通算本塁打最多タイ記録が話題になったが、同じえんじ色の「WASEDA」を胸に刻む早稲田佐賀が注目を集めるのは間違いないだろう。とびきり熱い夏のドラマを期待したい。(杉原孝幸)

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