400年ほど前に有田の窯業が始まった南原地区周辺の風景

 毎日、暑い日々が続いている。来春、社会人を目指す学生たちにとっては、今は就職活動の真っ最中。まるで実感はないものの、景気の回復とともに、就職率も順調に伸びているようだ。ぜひ熱い戦いを乗り越えて、有意義な人生とするための第一歩を踏み出してほしい。

 現在、日本には法人企業が170万社もあるのだそうだ。創業100年以上の老舗企業も3万社以上、200年以上も3000社を超えるらしい。これは世界の老舗企業の中で、軽く半数超えの断トツ世界一。中には、千年を超える企業も7社あるというから驚きだ。

 佐賀県内では、業歴の長い上位10社のうち、半数近くを有田のやきもの製造が占める。ただし、これは創業が判明するものだけに限られるため、もっと多くの窯元が、古くから続いていることは間違いない。

 企業が長く続く個々の要因は、千差万別であろう。ただ、ひと言言えば、歴史や伝統の中で培われた、目に見えない、気付かない合理性に謙虚に向き合ってきたことに帰結するのではないか。文字や数字には現れない行間にこそ、秘訣となる知恵は詰まっている。

 有田焼は、伝統を守りつつも、時に革新を図ることによって、途絶えることなく400年も産業として継続してきた。その行間は生産の現場に限らず、地域の風土や暮らしの中に広く潜んでいるのである。

(有田町教育委員会学芸員・村上伸之)

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