■国立遺伝研、新手法開発

 乳がんや卵巣がん発症の可能性が高まるとされる遺伝子の異常を低コストで調べることができる新たな検査法を、国立遺伝学研究所(静岡県三島市)の井ノ上逸朗教授(人類遺伝学)らが開発し、国内の特許を出願したことが11日、同研究所への取材で分かった。

 新たな手法は、一度に大人数を調べるため1人当たりのコストを下げることができ、現在1人約20万~30万円の検査費用を2万円程度まで抑えられる。

 井ノ上教授は「家族や親族に乳がんや卵巣がんを発症した人がいる場合は、遺伝子検査で早期発見につながる。費用が安ければ多くの人が検査を受けられる」と話しており、2年をめどに実用化し、保険適用も目指す。

 ただ遺伝子に異常が見つかっても、発症のリスクは人によって異なるため、専門家による丁寧な検査結果の説明が必要となる。

 検査で調べるのはBRCA1、BRCA2という遺伝子。本来はがんを抑制する働きをするが、異常があると十分に機能せず、遺伝性の乳がんや卵巣がんを発症するリスクが高まるとされる。

 2遺伝子の異常を調べる検査は現在、米国の検査会社が医療機関を通じて提供しているが、1人約20万~30万円と費用が高いことから検査を受ける女性は限られていた。

 新手法は、検査を受ける人の血液からDNAを採取し、特殊な処理で一人一人のDNAに「目印」を付ける。96人分を一つの容器にまとめ、遺伝子の配列を高速で調べることができる「次世代シーケンサー」という装置にかけ、同時に解析。目印をもとに、一人一人の異常を調べる仕組み。

 井ノ上教授らは千葉大の協力を得て、乳がん患者11人を含む女性約400人を新手法で調べ、遺伝子の異常を高い精度で検出できることを確かめた。

■BRCA1とBRCA2とは

 がん細胞の働きを抑えるタンパク質を作る2種類の遺伝子。このタンパク質は、細胞内で傷ついたDNAを修復し、細胞分裂が急速に進まないようにする働きがある。遺伝子に変異があり、正常なタンパク質が作られないと、乳がんや卵巣がんにかかりやすくなる。一般的に両親のどちらかが変異のある遺伝子を持っていた場合、50%の確率で子どもに受け継がれる。【共同】

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