■かむことで体が温まる

 今年も酷暑の夏となりました。この暑さの中でも冷え性で困っている方がいらっしゃると思います。冷え性にはさまざまな原因とその対策があるようですが、ある雑誌に“よくかんで食べることが冷え性対策に効果的”という記事がありましたので“かむ・食べる”点から考えてみたいと思います。

 食事をしていると次第に体温が上がってくることに気がつくときがあります。これは食事誘発性熱産生と呼ばれ、直接的には消化器系の臓器が活動するときに発生する熱ですが、その産生される熱は食べ物の種類によって異なります。また、かむことによって顎の筋肉が働き、スポーツによって体が熱くなるのと同じように熱が産生されます。

 野生の肉食動物が獲物を捕食するシーンを観ると、顎の筋肉だけでなく、肩、胸、首、手足の筋肉をフルに使っているようです。草食動物では激しい動きはないものの、とても長い時間をかけて草を食(は)んでいます。彼らは食事に伴う運動量と熱産生が相当にあるはずですが、人も本来“食べる”ことには小さからぬエネルギーを必要とするものだと思います。しかし、私たち現代人は食品を調理、加工し、必要最小限のエネルギーで食べるようになってしまいました。もし食物に対するかむ回数を10回から30回に、30回を50回にと増やしていけば1日の食事におけるかむ回数は2000~3000回ほども差がつくこととなり、熱の産出や血液の循環に大きな変化をもたらすことでしょう。

 暑い日には、きゅうりやトマト、梨やそばなど身体を冷やす食べ物がおいしく感じられますが、にんじんやたまねぎ、ぶどうやみそなど体を温める食べ物と、五分づきの玄米ご飯などかむ回数が増える食物とを組み合わせてみると、冷え性の対策になるかもしれません。(すみ矯正歯科 隅康二)

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