日本生まれで、世界で愛されているゴジラが12年ぶりに国内で映画化され話題を呼んでいる。公開中の『シン・ゴジラ』だ。アニメ『エヴァンゲリオン』の庵野秀明が脚本と総監督を務め、「シン」の意味をはじめ、謎を多く提示している◆ゴジラが描く世界は全くの空想ではなく、現実を反映させている。名作と名高い1954年の第1作『ゴジラ』はビキニ環礁での米国の水爆実験に着想を得ている。後に『ウルトラマン』シリーズを手がける円谷英二が特殊撮影を担当するが、この作品には怪獣を倒すヒーローはいない。人間が答えを見つけるしかないということだ◆新作でも突然現れたゴジラの東京破壊を前に政府は混乱し、住民の避難も困難を極める。私も観賞したが、5年前の東日本大震災や福島第1原発事故を踏まえた作品であることが十分に伝わった。玄海原発の避難計画を取材し続けた記者として、人ごとと思えないリアルさを感じた◆庵野総監督もゴジラという作品が「現実の風刺画であり、鏡像」とコメントしている。社会が抱える問題点を浮き彫りにしてきたのが、この作品の歴史なのだろう◆登場人物が多く、名優たちが次々と出てくるのも新作の特色だ。圧倒的なゴジラを前に人は何ができるのだろうか。「ゴジラ」を「大災害」「戦争」に置き換え想像してほしい。(日)

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