国際オリンピック委員会(IOC)が夏季五輪の実施種目を増やすことを決めた。昨年のリオデジャネイロ大会での306種目から、3年後の東京大会では321種目に増える。

 若者の志向、都市型のスポーツ、男女平等の3点に目を向けた上での取り組みだとIOCは説明する。過去に例のない増枠だし、五輪の将来像を明確に定め前進したことは画期的だ。

 これらの種目が全て五輪に定着するかどうかはまだ分からない。しかし、五輪の中身も時代に即して変化すべきだと考える柔軟な姿勢は、評価して良いのではないか。新しい実験をまずはじっくりと見てみよう。

 伝統的な種目を維持しながらの種目の新編成だから、根っからの五輪ファンという人たちを失望させることはないのではないか。

 バスケットボールでは、ボールを投げ入れるリングと、それを支える壁や板があれば路地裏でも楽しめそうな3人制が採用された。確かに都市に住む若者は身近に感じるだろう。

 これまで五輪に目を向けることがほとんどなかった若者を、なんとか引きつけたいとのIOCと国際バスケットボール連盟の意図が見て取れる。

 いずれも男女各2選手がチームを組んで競う競泳混合400メートルメドレーリレーと陸上混合1600メートルリレーが入ったのは驚きだ。陸上混合リレーは世界選手権でも実施されていないなじみの薄い種目だ。

 柔道の混合団体は男女各3選手でチームを編成する。卓球では混合ダブルスが入った。

 15種目増えたのに、参加選手総数は逆に前回大会から285人減少する。IOCが陸上、重量挙げ、レスリングを中心に、参加選手枠を縮小したためだ。

 IOCは五輪の巨大化を食い止める努力をアピールしながら、東京の組織委員会に新たな負担を強いることがないよう努めたようだ。リレーや団体の新種目に出場する選手は原則として個人種目に出ていることが条件になるのだろう。

 そこで心配になるのは、競技レベルの高い選手は個人種目と団体種目の両方でメダルを獲得するチャンスが広がる一方、メダルに縁のない選手はこれまで通りメダル獲得は夢物語でしかないという現実は変わらないという点だ。

 いわゆる強豪国はメダル獲得数が増えるだろう。目ざといIOCは先進国の放送権者とスポンサー企業から、投資に見合う大会として評価してもらうためにも、今回のような種目増は効果的と判断したのか。

 しかし、そのような特定の国での盛り上がりは、多様なスポーツを世界に広め、若者を勇気づけることを理想とする五輪運動の本質とは直接結び付かない。

 IOCはアジア、アフリカ、中南米の多くの国、とりわけそれらの地域の農村部に届けるべきメッセージはまだ用意できていないようだ。ぜひこちらにも目を向けてほしいものだ。

 選手枠を105人削減された陸上の国際連盟はすぐに批判的な声明を出した。「リオ五輪では10カ国が陸上だけにしか参加しなかった。枠の削減によって、そのような国が参加できないようになれば、IOCの目指す多様性への影響は避けられない」と指摘した。(共同通信・竹内浩)

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