農事組合法人「五町田ファーム」の設立総会。山田錦の品質や収量アップに向け、町内の2蔵元も期待を寄せる=嬉野市塩田町の五町田公民館

 良質な酒米「山田錦」生産拡大を日本酒を醸す2軒の蔵元が並ぶ嬉野市塩田町で、酒造好適米の最高峰「山田錦」の生産拡大と品質向上の取り組みが本格化している。山田錦の一等米は食用に比べて約2倍の高単価だが、草丈が高いために生育過多になると倒伏しやすく、品質や収量を維持するのが難しい。5月中に4つの集落営農組織や酒造会社が構成員となる生産者組合を設立し、県や市、JAが協力して作付計画の指導や栽培技術の統一と普及に当たる。

 塩田町は酒米の優良産地として知られ、昨年産の山田錦の作付面積は16ヘクタール。出荷した42・3トン全量が一等米で県内最多となった。ただ、大豆刈り取り後で土壌の栄養分が高まっている圃場に植えて倒伏の危険性を招くなど、作業手順が徹底されていない部分もあった。県内の他産地では一等米を十分に収穫できず、兵庫県産などに置き換えられたケースもあるという。

 生産者組合は非農家の蔵元も参加するため、一般社団法人として立ち上げる予定。「山田錦」は1俵(60キロ)で2万3千円前後と高単価だが、作付けは酒造組合からの割り当てで決まる。将来的には収益を集落営農組織内で平等に配分する方式に移行する必要性があり、組織の法人化に向けて着々と準備を進めている。

 3月末に開かれた農事組合法人「五町田ファーム」の設立総会で、初代代表理事に就いた宮崎政則さんは「五町田ブランドを確立し、塩田から日本全国、世界で愛されるものづくりに貢献したい」。酒米を経営の柱に据えて農地を荒廃から守る決意を語った。

 総会には町内の瀬頭酒造、五町田酒造の両社長も訪れ、瀬頭酒造の瀬頭平治社長は「地元の米で作ってこその地酒。米の品質は酒造りに直接響く。兵庫の山田錦に負けないものを作っていただけるのは心強い」と期待を寄せた。

 生産者組合は本年度産から始動し、2019年までに「山田錦」の作付けを20ヘクタールに拡大する。団地化や機械の共同利用も進めて生産コストの低減にも努める。

 藤津農業改良普及センターの上瀧孝幸技術担当係長は「高単価な酒米で地域の農業経営を安定させ、若い担い手育成や農地保全につなげてほしい。蔵元にとっても良質な原料が地元で手に入れば、ブランド力やコストの面でもメリットは大きく、地域一丸で結果を出したい」と話す。

     

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