民進党の新たな代表に前原誠司元外相が選ばれた。前原氏は「多くの国民が『民進党に政権交代などできっこない』と考えている。決意を示せば、失笑・冷笑で迎えられるだろう。私はそれを変えていく」と党再生の覚悟を述べた。

 今回の代表選は、東京都議選の惨敗を受けて辞任した蓮舫氏の後任選びで、保守系の前原氏と、リベラル系の枝野幸男元官房長官の一騎打ちになった。投票の結果、国会議員票で前原氏が大きくリードし、地方票でも圧倒した。

 最大の争点は、共産党との距離感、野党共闘の在り方だった。昨年の参院選は「安保法制」反対の旗印の下、民進党をはじめ、共産、自由、社民の野党4党が足並みをそろえた。その結果、全国32の1人区全てで候補を統一し、11県で自民候補を破るなど一定の成果を挙げている。

 今後も野党共闘を続けていくのか、それとも見直すのか。前原、枝野両氏の主張は大きく異なった。

 前原氏は「補選であれ、衆院選は政権選択の選挙だ。基本的な理念や政策が一致をしないと、政権を組むことにはならない」と見直しを主張。これに対して、枝野氏は「『安倍政治を何とかしろ』という幅広い市民の声を受け止めやすい。主体性を失うことなく、自民党と一騎打ちの構図に持っていく」と継続を訴えた。

 憲法改正を巡る基本的な姿勢にも、両候補には大きな違いがあった。前原氏が「憲法改正案の来年の発議は拙速だ」としつつも改憲論議には応じる構えを見せたのに対して、枝野氏は「議論されている改憲草案であれば徹底的に戦う」と与党との対立姿勢を打ち出していた。

 今後のかじ取りは前原氏に委ねられたわけだが、果たして党内をまとめられるだろうか。

 民進党の支持が広がらない最大の理由の一つは「ガバナンス(組織統治)」の欠如にある。党内にまとまりがなく、いったん方針を決めた後もいつまでも異論がやまない。党内の調整にエネルギーを吸い取られてしまうという悪癖をぬぐえるだろうか。

 今の自民党政治は、決して盤石なわけではない。「安倍1強」が続いたおごりが出てきて、支持率は急降下した。加計(かけ)学園や森友学園の問題でも説明責任を十分果たしたとは到底言えない。本来ならば、こうした時こそ政権交代可能な「二大政党制」の出番のはずだが、民進党に対する国民の視線は依然として冷ややかなままだ。

 都議選を振り返っても、しっかりした受け皿さえあれば、有権者は批判の意思を示すわけだ。

 国民の記憶には旧民主党政権時代のあまりにも無残な混乱ぶりが焼き付いている。党名こそ新しくなりはしたが、政権時代の検証・総括は果たして十分だろうか。その経験を生かす姿勢を、党内で共有できているだろうか。党内でさえ十分な統率が取れず、政策の調整にも手間取るというのに、安全保障などを委ねて大丈夫かと国民が疑問に思うのも当然だろう。

 国民の信頼を取り戻すには、具体的な行動で示すしかないと覚悟してもらいたい。前原氏は「国民に新たな選択肢を示すために立ち上がろう」と呼びかけた。来月に控える衆院補選が、その試金石になる。(古賀史生)

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