タイワンツバメシジミの生態や特徴、保全活動をする上で知っておくべき事などをオールカラー写真で紹介している冊子

南波多町内に生息・自生する希少動植物を集めた冊子を編集したメンバー=伊万里市の南波多町公民館

 伊万里市南波多町の地元有志が、町内に生息・自生する希少な動植物をまとめた“ご当地図鑑”を発行した。同町の西に位置する大野岳(標高424メートル)で希少種のチョウ「タイワンツバメシジミ」の生息が確認されたことなどをきっかけに編集委員会を立ち上げて調査や写真撮影に奔走。住民や町外の出身者に配布し、自然環境保護への機運も高まっている。

 タイワンツバメシジミは山林や原野に人の手が入らなくなった影響ですみかや餌場を失った上、姿形が美しいために捕獲され、佐賀県のレッドリストで最も危機的状況の「絶滅危惧(1)類」に分類される。大野岳では定期的な草刈りで草原が維持されていたために生息が可能とされ、「動植物の宝庫」としてのふるさとをもっと知ろうと、町まちづくり推進協議会で冊子の発行を呼び掛けた。

 元学校教諭の小嶋一郎さん(81)を編集委員長として、タイワンツバメシジミ保全の会会長の松本輝彦さん(79)、自然の動植物の写真撮影が趣味の歯科医の松尾優さん(63)らによる編集委員会が2年がかりで制作。推進協議会も費用面などで支援した。

 冊子のタイトルは「南波多町の動植物」。オールカラーでA4判100ページ。佐賀の名木・古木に指定された樹齢350年の「ケンポナシ」やアオバズクなどの鳥類、テナガエビやドンコといった水生生物、キキョウをはじめとする山野草やシダ類まで収録。巻末には、環境省や県の絶滅危惧種指定リストと照合できる資料も掲載した。

 冊子が全戸配布されると思わぬ効果も。住民が主体的に希少動植物の採取者に目を光らせるようになり、タイワンツバメシジミの餌となるシバハギの植栽を予定するなど地域活動の活性化にもつながった。

 小嶋編集委員長は「地元の人でさえ驚くほど多様な生き物がいることが分かり、地域の見方も変わった。豊かな自然を次の世代に引き継ぐ決意が新たになった」と話す。

 冊子は南波多公民館や市民図書館などでも見られる。

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