自宅で亡くなる「在宅死」の割合に地域差があることが明らかになった。このほど数値を公表した厚生労働省は、在宅医療の受けやすさなどが影響したとみて、自宅での「看(み)取り」ができるよう環境整備を進める。しかし、住み慣れた自分の家で終末期を過ごすには、まだまだ課題は多い。

 厚労省が公表した全市区町村別の集計によると、人口20万人以上の都市で約3倍、人口5万人以上20万人未満の中規模自治体では5倍近い開きがあった。

 佐賀県の自治体で在宅死の割合が最も高いのは鳥栖市の19・5%、最も低いのは上峰町の2・0%だった。

 これだけの差が出た原因は、一般的に在宅看取りを支える訪問診療のマンパワーの違いや、自治体の取り組みの濃淡があるとされる。しかし、特に大都市部では誰にも看取られることがない孤独死も含まれたりしており、在宅死の内容も見極める必要がある。佐賀県によると、いろんな要素が絡んでいて、差が出た原因はまだはっきり分からない部分が多いという。

 もともと佐賀県は在宅死の割合が全国で最も低い県の一つ。病院や診療所など施設内での死亡率は全国トップクラスだ。人口当たりの病床数が全国平均値より高く、入院環境が整っていることも、自宅での死亡が少ない理由とみられる。

 厚労省の全国調査では6割の人が「自宅で療養したい」と答えているが、家族へ負担をかけたくないと考えたり、容体急変時の対応などがネックになって在宅医療はあまり進んでいない。

 しかし、高齢化を背景にこれから多死社会を迎え、在宅医療が受け皿にならなければ、医療・介護難民を生じかねない。国は診療報酬を手厚くするなどして在宅医療を推進してきた。住んでいる地域に、担い手になる在宅医がいるかどうかが大きなポイントだ。

 一般家庭に向け在宅医療のイメージが浸透していないことも、進まない要因になっている。「がんの末期の人が家で療養するのは大変」という考えが強く、まだまだ特殊な人が頑張ってやっているという見方をされている。知らない不安が壁をつくっている。

 在宅医は、容体が急変した際に受け入れてもらえるバックアップ病院と連携しているし、看護師、薬剤師、介護スタッフらを含めてチームをつくり在宅ケアを支える態勢が整備されつつある。病院か在宅かの二者択一ではなく、「ときどき病院、ときどき在宅」といったケースもあっていい。

 2015年度から、在宅医療と介護の連携推進が市町村事業となった。3年の経過措置はあるが、県や医師会だけでなく介護保険を運営する市町村の責任は重い。

 佐賀県内の医師会は診療所やバックアップの病院を連携させ、県内に在宅医療の受け皿となる35のグループをつくっている。市町は地域内の在宅医や介護事業所との間の仲介をしたり、住民にそうした在宅医療の資源があることを積極的に知らせることを強化していく必要がある。今後は、より主体的な関わりが求められる。

 関係者で住民の信頼感を高め、安心して地域に戻れる、質の高い充実した終末期ケア体制づくりを急ぎたい。(横尾 章)

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