小学校の理科の予習動画の画面。児童は予習の後、ミニテストに回答する

■よくて5割、動画に課題

 小学校の算数51・7%、理科42・1%。中学校の数学34・8%、理科15・1%。武雄市の反転授業「スマイル学習」を科目別で見た2015年度の実施率だ。用意されている予習動画をどの程度使ったかを表す。よくて5割、低い科目は2割に届かない。さらに同じ科目でも100%の学校もあれば10%程度のところもあり、“学校間格差”も大きい。

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 「使いづらいものもあるし、教科書改訂で授業構成が変わって使えないものもある。内容の見直しが必要」。ある小学校教諭は予習動画の問題点を挙げる。ベテラン教諭は「先生は教材研究を重ねて自分流の授業展開を持っている。それを超える内容がないと」と指摘し、「予習動画をインストールさせる作業なども必要で、煩わしい点もある」。

 使いづらい予習動画とはどんなものなのか。一例は平行四辺形の面積を求める授業の動画。公式の「底辺×高さ」まで内容に入っている。公式は授業の最後に到達する「答え」。答えがあらかじめ分かってしまうと授業にならないという。自分でカット編集して使っている教諭もいる。

 市教委が小学校教諭に行ったアンケートでは「スマイル学習を減らしたい」と考えているのは58%。理由は「負担がかかる」が38%、「他の方法を用いたい」が25%だった。

 反転授業の動画は、開始前の13年末、市内の小学校教諭が手分けして制作を始めた。各校に単元を振り分け、制作に協力する2社と個々人が電話やメールでやりとりしながら作り上げた。「余裕なく走りながらの作業だった」「著作権の問題で教科書をそのまま取り込めなかった」「どんな内容を目指すのか、制作者に共通理解がなかった感じがする」。担当した教諭が漏らす共通点だ。

 制作した教諭は「実際に使って感じるのは『話し合うためのポイントを考えさせる内容』にすべきということ。そうした観点を共有していれば、授業に取り入れやすい動画がそろったと思う」と振り返る。

 こうした教訓を生かし、中学生の予習動画は制作方法を見直した。数学を統括した林正昭・武雄北中校長は「まず、どの授業が反転授業に向くかを話し合って分担し、内容調整や制作会社とのやりとりは1人が担った」という。制作後も現場の意見を聞いて改善を重ねている。

 改善が遅れている小学校の教諭からは「問題点を出し合って改善する」「自分の指導方法に合う動画を選べるよう、数種の動画があれが理想的」「コンセプトを合わせるのは難しい。改訂作業もあるので専門の業者に任せては」などの意見が上がる。林校長は強調する。「動画のクオリティーを高めるべきだ」

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