約120人が詰めかけた創作劇の説明会=基山町民会館

 基山町の町民による手作りの創作劇が装いを新たに再始動する。題材は大正から昭和初期にかけてホタルの名所として知られた同町へ、博多駅から運行していたという「ホタル列車」。町に芽生えた演劇文化を継承しつつ、演劇を通じて地域の宝を掘り起こし、郷土愛を育んでいく。

 基山町では、町内の国指定特別史跡「基肄(きい)城」が、2015年に築造1350周年を迎えることを記念し、12年から地元の小中学生が創作劇「こころつないで」を上演。西日本各地の古代山城立地自治体が集う「古代山城サミット」を区切りに、4年間の活動にいったん幕を下ろした。

 「基山の歴史と文化を語り継ぐ会」会長で、新設の「きやま創作劇実行委員会」会長も務める園木春義さん(68)は「基山町に芽生えた演劇文化の存続を強く願う意見が寄せられ、特に子どもたちが『もっとやりたい』と復活を望んでいた」と経緯を話す。

 今後は1年ごとに題材を変え、大人も舞台に立つ。第1弾の題材は、九州帝国大学(現九州大学)によるゲンジボタルの養殖研究が町内を流れる秋光川で行われ、ホタルの名所となっていたという史実をもとにした。1921(大正10)年~35(昭和10)年の間、ホタルの飛び交う季節には博多から基山まで臨時の「ホタル列車」が走っていたといい、なぜ列車は途絶えてしまったのか、当時忍び寄っていた第2次世界大戦の影も踏まえながら描く。

 7月28日夜には説明会があり、創作劇の再開を心待ちにしていた子どもから大人まで約120人が詰めかけた。劇の本番は12月11日の「ふれあいフェスタ」。8月20日から稽古が始まる。総合制作を務めるきやま創作劇推進委員の福永真理子さん(42)は「基山でしかできないものを作るのが絶対条件。芝居は子どもたちの人間力を高めてくれる。見る人にも感じるものを与えられれば」と話す。

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