煎茶文化を体験する台湾からのツアー客らと、煎茶の入れ方を教えるNPO法人高遊外売茶翁顕彰会の川本喜美子理事長(左)

甲冑姿の写真を撮るツアー客ら=佐賀市松原の肥前通仙亭

■売茶翁ゆかりの地、ツアー客で盛況

 佐賀市出身の「煎茶(せんちゃ)道の祖」、高遊外売茶翁(こうゆうがいばいさおう)の情報を発信する物産交流館「肥前通仙亭」(同市松原)を訪れる外国人観光客が急増している。国内外を分けて来館者数の記録を取り始めた昨年7月、外国人は71人だったが、今年5月には245人を記録。来館者の5人に1人は外国人だった。市産業振興課の担当者は「見るだけでなく、体験できる観光が人気を呼んでいるのでは」と話している。

 6日は台湾からのツアー客約70人が煎茶体験を楽しんだ。最初に出迎えたのは、甲冑を着けた武士姿の男性スタッフ。「400年前からやってきた、鍋島藩家老の成富兵庫茂安です」と自己紹介し、詩吟と居合を披露すると、観光客は一斉にスマートフォンのカメラを向けてシャッターを切った。

 ツアーガイドや佐賀市観光協会、市産業振興課職員の通訳で、嬉野茶や有田焼の器の説明を聞きながら、煎茶の入れ方を習った。嬉野の新茶を味わい、茶葉にだしをかけて食べることも体験した男性客は「茶葉が台湾のものより小さくて細い。独特な香りがノリのようだ」と感心していた。

 通仙亭を訪れる外国人観光客は1、2年前から徐々に増え始め、その多くは台湾や韓国から。運営するNPO法人高遊外売茶翁顕彰会の川本喜美子理事長は、来館者のSNS投稿が増加の理由の一つと考える。「外国人観光客から『これ飲めますか』とスマホの画面を見せられることもある。SNSの威力を感じる」

 煎茶以外の体験をリクエストされることもあったが、売茶翁ゆかりの地として煎茶体験にこだわってきた。川本さんは「借り物ではなく、ここにある文化を生かしたおもてなしが、SNSで勧めてくれるような満足度と説得力につながったのでは」と分析する。

 煎茶体験をしない客は、館内を一周するだけで帰ることが多い。体験で滞在時間が増すと、交流が生まれ、リピーターや紹介、茶器や菓子類の購入にもつながる。通仙亭の近くには着物を着て町歩きさせてくれる店もあり人気を呼んでいる。川本さんは「佐賀を訪れる外国人観光客も増えてきたが、まだ滞在時間は短い。もっと佐賀でじっくり過ごしてもらえるような工夫を、町全体で考えていきたい」と話す。

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