高所作業車による橋の点検作業。限られた予算でインフラを守るため、補修による長寿命化の取り組みが求められている=唐津市呼子町の呼子大橋

 戦後の高度成長期に造られた道路や橋、水道管などが更新・修繕時期を迎える中、「インフラ老朽化を考えるシンポジウム」(佐賀新聞社、佐賀県建設業協会主催)が17日、佐賀市のアバンセで開かれる。限られた予算で日常生活の基盤を守り、危機的状況を乗り越えていくため、これからの公共事業の在り方について市民とともに考える。参加無料。

 シンポでは、熊本日日新聞社編集委員兼論説委員の毛利聖一氏が「故郷を襲った熊本地震~インフラと命~」と題して基調講演。昨年4月の熊本地震で橋や役所庁舎が損壊し、市民生活が脅かされたことを振り返り、災害対応の必要性などについて語る。

 佐賀県の県土企画課によると、県と市町が管理する道路橋(1万1673)のうち、老朽化の目安となる建設50年を経過した橋(架設年次不明分を除く)は2割に及ぶ。このままだと、10年後に5割、20年後に7割まで増えるという。

 パネル討議には、和泉惠之県土整備部長、石橋孝治佐賀大学大学院教授、松尾哲吾県建設業協会会長が加わり、佐賀新聞社の大隈知彦報道部長をコーディネーターに老朽化対策などについて意見交換。

 損傷が軽い段階で補修する「予防保全型修繕」が維持管理費の平準化につながることを学び、補修の優先順位について県民の理解を得る重要性や、市町の専門職員不足を補う点検・診断の一括発注の効果についても考える。

 シンポは午後6時からで午後5時半開場。事前申し込みが必要で定員300人。事務局担当者は「市民や自治会長、区長に聞いてもらいインフラを地域で守る機運が高まれば」と話す。参加申し込みは佐賀新聞社営業局、電話0952(28)2141。

■排水機場の寿命改善 洪水対策コストもテーマ

 干満差の大きい有明海に面し、低平地が広がる佐賀県には、洪水対策のための排水機場が52カ所ある。県管理の設備としては全国で最も多く、今回のシンポでは河川管理という課題もテーマになる。

 県土企画課によると、ポンプの部品交換の目安となる建設30年を超える排水機場は12カ所(2016年3月末時点)で全体の23%を占める。これが10年後に75%、20年後には94%にまで跳ね上がるという。

 排水ポンプに使われる羽根部品はこれまで30年程度で交換していたが、18年ごとに2回補修し、部品寿命を50年以上延ばす計画をこれから策定する。

 腐食や欠損が少ないうちに、さび落としや塗装などの軽微な補修をすることで維持管理コストを削減する。交換時期が集中することも回避できるという。

 排水機場は豪雨時に雨水がたまって家屋や耕地が浸水する内水被害や、高潮被害を軽減する。県河川砂防課は「稼働日数が多く、塩分を含む河川域のため部品も劣化しやすい」と語り、「機能を維持するためのこまめな点検の必要性も知ってほしい」と話している。

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