玄海原発再稼働差し止めの仮処分が認められず、「不当判決」などの旗を掲げる住民ら=13日午前10時5分、佐賀市の佐賀地裁前

 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)は安全性に欠けるとして、反原発の市民団体の住民が再稼働の差し止めを申し立てた仮処分で、佐賀地裁は13日、却下する決定をした。原子力規制委員会の新規制基準について「合理性がある」と判断した。地元手続きが終了している3、4号機は、今秋以降に再稼働する見通しになった。住民側は決定を不服として抗告する方針。

 立川毅裁判長は決定理由で、新規制基準における耐震設計の目安になる地震の揺れ「基準地震動」について、「複数の手法を併用して最も厳しい評価結果を採用するのを想定し、最新の科学的、技術的知見を踏まえることなどが明確に求められるなど、合理性が裏付けられる」と判断した。住民側の「基準地震動が過小評価されている」との主張を退け、規制委の審査に関しても「適正さを欠く部分は認めにくく、厳格かつ詳細に行われた」とした。

 施設の配管の安全性も争点になり、立川裁判長は、2007年2月に2号機の定期検査で判明した配管のひび割れが01年時点で把握できたことを示して「発見が遅れたことは問題がある」と指摘した。一方で、「検査自体が不合理だったとは言えず、重大な不備とまでは認められない」とし、配管にひび割れなどが生じた場合でも重大事故が起きないように安全性を確保していると結論付けた。

 住民側弁護団の冠木克彦弁護士は「裁判所は安全性を無視し、熊本地震のように今までにない地震が起きても何ら考慮していない」と批判した。九電は「主張が認められ、妥当な決定。今後も安全確保に万全を期す」とコメントを出した。

 仮処分は、原発の運転差し止めを求める訴訟を起こしている「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(石丸初美代表)に加わる住民らが11年7月に申し立てた。3、4号機の再稼働差し止めを巡っては、別の団体が今年1月に佐賀地裁に申し立てた仮処分も審理されている。

=解説=

 玄海原発3、4号機の再稼働差し止めを認めなかった佐賀地裁の決定は、原子力規制委員会の新規制基準の合理性を追認する姿勢をみせた。同様の判断は全国で続いている。科学的な知見が求められる領域で独自の見解を示すことに消極的とも映り、司法の限界を改めてにじませる。

 決定で地裁が問題視したのは、10年前に発覚した2号機の配管ひび割れの発見が遅れた点にとどまった。住民側は、震度7を観測した昨年4月の熊本地震クラスの地震に対する想定も不十分と訴えたが、地裁は九電側の主張に沿った形で退けた。こうした流れが定着していけば、住民らが「危険性の立証」という形で越えなければならないハードルはさらに高くなり、異議を唱えてもなかなか認められない状況が続くだろう。

 原発の「安全神話」が崩れた福島事故以降、リスクはゼロではないことが教訓になってきたはずだ。国や電力事業者は今回の司法判断に「お墨付きを得た」として安堵(あんど)するのではなく、引き続き、安全性の確保に向けた見直しに力を入れる必要がある。再稼働を容認した地元自治体に、一層の監視を強いる努力を課したことも忘れてはならない。

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