全国最多の原発を抱える福井県が今秋から、廃炉になった原発と使用済み核燃料にも核燃料税を課税する。29日には島根県も廃炉原発への課税を検討していることが判明。東京電力福島第1原発事故後、相次ぐ老朽原発の廃炉の影響を受ける立地自治体に新たな課税が広がりつつあるが、専門家からは「原発依存度を高める」との指摘が出ている。

 核燃料税は当初、原発の運転を前提に、原子炉に装填(そうてん)された核燃料の価格に対し一定の割合を課税する方法だったが、福井県が2011年11月、停止中の原発でも課税できるよう原子炉の熱出力に応じた方法を導入。福島県、宮城県を除く原発立地の10道県に広がった経緯がある。

 福島事故後、原子炉等規制法で原発の運転期間が原則40年と定められたことを受け、昨年から今年にかけて5原発6基の廃炉が決定。福井県にはこのうち、日本原子力発電敦賀1号機、関西電力美浜1、2号機の3基が立地する。

 県によると、現行の制度のままだと、両社が3基の解体工程などを示した廃止措置計画をまとめ、原子力規制委員会が認可した時点で、3基は核燃料税の対象から外れる。年間約60億円の核燃料税収入のうち、約6億円が減るという。

 今年11月以降は、3基と、既に廃炉作業中の日本原子力研究開発機構の新型転換炉ふげんに対し、現在の半分の税率を課すことになり、年間約4億円がカバーできる。県は「廃炉になっても安全対策は必要だ」と課税の理由を説明する。

 3基のほかに福島事故以降に廃炉となったのは、中国電力島根1号機(島根県)、四国電力伊方1号機(愛媛県)、九州電力玄海1号機(東松浦郡玄海町)。島根県は島根1号機に引き続き課税する方向で中国電と協議。愛媛、佐賀両県の担当者は「他県の状況を見守る」などと話し、今後の方針は未定としている。

 一方、原発などに保管されている使用済み核燃料への課税は、廃炉と無関係に、財政健全化などを目的に青森県や茨城県、新潟県柏崎市と鹿児島県薩摩川内市が既に導入しているが、今後、廃炉の影響を受ける佐賀県玄海町が来年度の導入を目指し、九電に協議を申し入れているほか、松江市も前向きな姿勢を示すなど広がりを見せ始めている。

 福井県は、使用済み核燃料への課税で年間約30億円の税収を見込む。廃炉原発の分と合わせ、大半を負担することになる関電は「収益を生んでいないものに対する課税は非常に厳しい」と反発しながらも「避難道路などに使っていただくのはありがたい」(岩根茂樹社長)と受け入れた。

 原発のコストに詳しい立命館大の大島堅一教授(環境経済学)は「新しい税の導入は、熱出力に応じた課税方法が広まったように各地の自治体に影響を与えるだろうが、使用目的を定めないと立地地域の原発依存度を高めてしまう恐れもある」と指摘している。【共同】

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