■新規制基準の合理性

 東京電力福島第1原発事故を契機とする改正原子炉等規制法は、最新の科学的知見を踏まえた、合理的に予測される規模の自然災害を想定した安全性の確保を求めている。規制法に基づき設置された原子力規制委員会が策定する新規制基準は、地震動について複数の手法を併用して評価し、最も厳しい評価結果を基準地震動として採用することを想定している。最新の科学的・技術的知見を踏まえ、不確かさを考慮すべきだとされており、基準地震動に関する新規制基準は合理性がある。

■基準地震動

 九電が基準地震動の策定の際に採用している、断層面積と地震規模の関係式である「入倉・三宅式」は現在の科学技術水準に照らして合理的である。他方で、住民らが採用すべきだと主張している「武村式」はデータが不十分であり、関係式としての正確性に乏しい。

 住民らは、九電が高精度とする、断層面の動きを把握する手法について、信頼性を欠くと主張する。確かに、熊本地震での各研究機関の実施結果をみると、データにばらつきが存在するが、発生間もない時点に各研究機関が独自に実施したもので、震源に関する知見や見解が固まった後は、ばらつきが小さくなると予想される。熊本地震の初期の結果のみをもって、手法の有効性を否定するのは相当ではない。九電が策定した3、4号機の基準地震動は合理的で、耐震安全性に欠けるとはいえない。3、4号機の運転による放射線被ばくにより、住民らの生命、身体に直接かつ重大な被害が生ずる具体的な危険が存在するとは認められない。

■配管劣化対策

 3、4号機の配管が破断しないための、九電による欠陥の発生防止や早期発見の対策には合理性がある。2007年には2号機で配管のひび割れ現象が判明したが、九電の保守点検の体制に重大な不備があったとまでは認められない。必要な対策も講じられており、現時点で同様の事象が生じる恐れがあるとは認めがたい。

■重大事故対策

 九電は3、4号機の配管に破断が生じた場合も、速やかに検知し、原発を緊急停止させた上、非常用炉心冷却設備や給水設備により冷却することで、重大事故が生じないように安全性を確保している。住民らが主張するように配管が破損した際、地震動で給水設備が損壊するといった経過で炉心溶融に至る可能性があるとは認めがたい。

■結論

 九電は基準地震動の合理性や配管の安全性について、相当の根拠や資料に基づいて証明したということができる。住民らの証明を検討しても、3、4号機が安全性に欠けるとは認められない。九電が3、4号機を再稼働することで、住民らの人格権が侵害される恐れがあるとは認められない。

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