都民は2020年東京五輪へ向かう4年間のかじ取り役を、初の女性知事に託した。首都の新しい顔に選ばれた小池百合子氏が、きょう初登庁する。

 劇場型の派手なパフォーマンスの勝利だった。政党の支援を受けない小池氏が「東京大改革」を掲げて、既存政党に挑む構図が有権者の関心を引きつけたのだろう。参院選から間がなく、有権者の選挙疲れも懸念されたが、ふたを開けてみれば投票率は59・73%と、前回を10ポイント以上も上回った。

 「崖から飛び降りる覚悟」で、真っ先に手を挙げ、自民党からの推薦が得られないと見て取るや「冒頭解散」「自民党都議会のドン」との対決姿勢を打ち出す。選挙戦の締めくくりには自らをジャンヌ・ダルクになぞらえて「火あぶりになる覚悟で都庁へ行きたい」とまで訴えた。

 一方、自民党は元岩手県知事で元総務相の増田寛也氏を立てたが、候補者選びでのつまずきが最後まで尾を引いた。小池氏が出した推薦願のたなざらしは“小池いじめ”と映り、組織引き締めの処分方針は不遜な印象まで与えてしまった。

 民進党などの野党4党は参院選に続いて、野党共闘の枠組みを持ち込んでジャーナリスト・鳥越俊太郎氏を支援したが、保守分裂の“敵失”を生かせなかった。一部週刊誌が取り上げた女性に対する疑惑報道があったとはいえ、立て直しの糸口さえつかめず失速。民進党の岡田克也代表に至っては投票前日に次期代表選へ出馬しないと明らかにするなど、組織として十分に機能しているのか疑わせた。

 圧倒的な勝利を収めた小池氏だが、今後も対決一辺倒というわけにはいかないだろう。改革派として大なたをふるうにしても、都政の停滞を招くようでは困る。選挙戦でも浮き彫りになったように、都政にはさまざまな課題が山積しているからだ。

 小池氏自身が当選直後に「都民から選ばれた知事、都民から選ばれた議会」「都民ファースト」と述べたように、知事と議会、いずれも都民から負託を受けた立場である。ここは是々非々で都政を前に進めるよう求めたい。

 2代続けて都知事が「政治とカネ」の問題で任期途中に辞任しており、舛添要一前知事の政治資金問題の解明も残っている。

 最大の課題は、東京五輪をいかに成功に導くかだ。当初の計画から大きくふくらんだ開催コストを見直し、コンパクト路線を取り戻せるか。五輪後も見据えた将来ビジョンも併せて示していく必要がある。

 暮らしに密接なテーマでは、待機児童・待機高齢者の解消や、都独自の給付型奨学金の導入、都道の無電柱化などの首都直下地震への備えも喫緊の課題だ。

 いずれも、東京だけでなく、地方にとっても共通の課題であり、東京が先頭を切って解決のモデルを示してもらいたい。

 今回の選挙結果は、今後の国政にも影響を与えそうだ。自民党や民進党支持層から無党派層まで幅広い支持を集め、「小池新党」結成もささやかれ始めた。新知事が掲げる東京大改革が、東京と地方の共存につながり、国政にも活気を与えるよう期待したい。(古賀史生)

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