野党がさらに分立する可能性が出てきた。

 第1党の民進党では、「遠心力を働かせてしまった」として辞任を決めた蓮舫代表の後継選びが進むものの、有力なリーダー候補だった細野豪志元環境相が8日、党に離党届を提出するなど求心力の低下は止まらない。

 一方、小池百合子東京都知事の側近である若狭勝衆院議員が、自身を代表とする政治団体「日本ファーストの会」を7月に設立、9月からは候補者選びのための政治塾をスタートさせるなど年内の国政政党立ち上げに向けて動きだした。

 細野氏や民進党内の保守系議員との連携が予測される。民進党と日本維新の会が分立してきた野党の勢力図に新たに事実上の「小池新党」が加わる展開となってきた。

 民進党は新たな代表の下で早急に求心力を回復させ、これ以上の分裂を回避することに全力を挙げなければならない。

 仮に主要野党が三つになったとしても分立したままで次期衆院選を戦えば、与党を利するだけだ。野党同士のつぶし合いだけはなんとしても避けるべきだ。

 「有権者は、自民党でも民進党でもない、もっと新しく、もっと声を受け止めてくれる政党の存在を求めていると実感した」

 若狭氏は7日開いた記者会見で、新党の意義についてこう強調した。最大規模の自民党、それに次ぐ民進党をスルーする世論の受け皿という位置づけだが、第三極としてはすでに日本維新の会が存在している。

 与党の立場をとらず、他の野党と選挙協力をしない第三極は、政権批判票を野党第1党、民進党と奪い合うことになり、その存在は結果的に与党に有利になる。これは日本維新の会の前身政党が国政進出してきた2012年衆院選以来の国政選挙の結果を見れば明らかだ。安倍晋三首相の「1強」と、野党の「多弱」状態が生まれる要因の一つである。

 あおりを受け続けてきた民進党は今、結党以来最大の危機の中にある。若狭氏が新党づくりに向けた決意を表明した後、前原誠司元外相が記者会見を開き、蓮舫代表の後継を決める代表選への立候補を正式に表明した。

 前原氏は出馬理由について「自公に代わる受け皿をつくらないといけない。今の選択肢では、国民の不安を解消する政策を打ち出す政党がない」と述べたが、若狭氏と全く同じ現状認識を示さなければならないのは皮肉だ。

 代表選には枝野幸男元官房長官も8日、立候補の意向を明らかにした。前身の民主党を幹部として自民党と並ぶ政党に育て、政権交代を成し遂げた2人の対決となりそうだが、党内に新代表選びの熱気は感じられない。

 それどころか、細野氏を追って離党を模索する動きの方が活発化しつつある。

 内閣改造と自民党役員人事で態勢立て直しを図ってはいるものの安倍政権は学校法人「加計学園」、「森友学園」を巡る問題や南スーダンの国連平和維持活動(PKO)日報隠蔽(いんぺい)問題で一時の勢いを失っている。

 来年末までにある次の衆院選は与党が3分の2以上という圧倒的多数を持ち続ける異常な状態に終止符を打つチャンスである。野党の分立と主導権争いでそれを見過ごすようなことがあってはならない。(共同通信・柿崎明二)

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