会員の高齢化や減少が進み、核廃絶運動をどう継承するか思案する佐賀県被団協会長の田中徹さん=三養基郡基山町

■核廃絶運動の継承課題

 長崎は9日、原爆投下から72年の「原爆の日」を迎える。広島で被爆した人を含め、佐賀県内で被爆者健康手帳を持つ人は3月末現在1千人で、平均年齢は83・62歳。悲願の核兵器禁止条約が国連で7月に採択されたが、核廃絶運動をけん引してきた被爆者団体は会員の高齢化が進み、物故者も続いて活動が細っている。被爆体験や核廃絶運動をどう継承するか、後に続く世代の課題になっている。

 「活動という活動ができていない。参加を呼び掛けても反応が鈍い」。4歳のころ長崎で被爆し、2年前から県原爆被害者団体協議会(県被団協)の会長を務める田中徹さん(76)=三養基郡基山町=は表情を曇らせる。県被団協では現在11支部が存続しているが、会員数は400人を下回った。支部役員の後継者不足が深刻で、役員が亡くなった場合、支部の解散話につながる状況がある。

 「ヒバクシャの受け入れ難い苦しみに留意する」と明記した核兵器禁止条約が7月に採択された。ただ、核保有国や米国の「核の傘」に頼る日本は参加せず、実効性は未知数だ。田中さんは「今からでも条約に参加し、核廃絶に向けた姿勢を示してほしい」といら立ちを示しつつ、国際条約を糧に「核なき世界」を目指す思いを強くしている。

 担い手として期待するのは、被爆者の子どもや孫の世代に当たる被爆2世や3世。県外ではこうした世代が被団協の中心になっているところもある。「県原爆被害者2世・3世の会」会長の前田一美さん(63)=武雄市=は思いを受け止め、「親の世代が積み重ねてきた活動を引き継ぎ、後世に伝えるのが私たちの役目」と意欲をみせている。

 田中会長は9日、長崎市で開かれる長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に出席する。「活動は年々厳しくなるが、2世や3世の力も借りて核兵器の非人道性を伝えていきたい」と力を込める。

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