未来を担う子どもたちに何を学ばせ、どう育てるか。中央教育審議会(中教審)は2020年度から始まる次期学習指導要領の改定案を示した。小学5年生から英語を教科化することや、児童生徒が主体的に授業に参加する「アクティブ・ラーニング」などが盛り込まれている。学習効果を出すためにも、子どもや教師へ過剰な負担増とならないように現場へのサポートを考える必要がある。

 小学校では現在、5、6年生の授業で「話す・聞く」中心の「外国語活動」(週1こま・45分)に取り組んでいるが、新指導要領案では3、4年生に前倒しする。そして、5、6年生は英語(週2こま、90分)に教科化し、「読む・書く」に力を入れる。グローバル時代を念頭に、英語に慣れる早期教育を進めるのが狙いだ。

 また、IT時代の人材育成へ、プログラミング教育を小中高校で導入する。論理的思考力も育てていくもので、総合的な学習や理科、数学の授業などを活用する。

 時代のニーズにあわせ、教育内容を見直すことは理解できる。ただ、学ぶ量が増え過ぎていないか不安もある。小学生英語だけで、3~6年生で週1こま分の授業が増える。中教審は10~15分に分割して、短時間ずつ組み込んだり、土曜日の活用を求めている。下校時間が遅くなったり、週末の活動にも影響が出てくるだろう。

 学ぶ量が増え、ほかの教科へしわ寄せがないか懸念もある。現在の2011年の学習指導要領は「脱ゆとり」の方針で学習内容が増えたため、「一つのテーマを習得する時間が減った」という声が現場にある。“駆け足”の授業についていけない子が増え、放課後や夏休みを使い、補習する学校も珍しくない。新要領は、さらに無理を強いるものになってはいないか。導入後に検証が必要だろう。

 もう一つの柱が「アクティブ・ラーニング」だ。教科書の内容を覚える「知識偏重」ではなく、知識を活用し、自ら考える力を育てる教育で、これも国際社会で活躍できる人材を育てる狙いがある。ただ言葉だけが先行し、その授業法が確立しているとは言えない。

 佐賀県内では、唐津市が3年前から指定校を設け、先進的に取り組んでいる。児童生徒は4人前後のグループをつくり、教師の問いかけについて議論し、答えを練り上げ、発表するスタイルだ。

 一部の学校では記述式問題で正答率が上がり、学力向上で成果が出ている。全ての子どもが授業で発言するため、居眠りや私語が減り、生徒指導の効果が出た大規模校もあるという。

 しかし、講義中心の従来の授業を大胆に変える試みであり、現場には慎重論が多い。校長のリーダーシップや教師の意識改革がなければ成功は難しいだろう。子どもの意見を引き出すには、授業の準備も今まで以上に必要だ。部活動や生活指導に日々追われる中、教師の負担増も懸念される。

 子どもたちの可能性を引き出すには多様な教育を施すことが効果的だろう。しかし、メニューを増やし、授業の中に詰め込み過ぎれば、逆に学ぶ意欲を奪う恐れもある。時代の変化とともに学び方やその量が変わるのであれば、教育現場が対応できるように、行政や地域が支援のあり方を考える必要がある。(日高勉)

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