人口約400人の高知県大川村の村長が、議員のなり手不足を理由に議会に代わる「村総会」設置に向けた検討を本格化させる考えを示した。離島を除けば人口が全国で最も少ない自治体の決断は、他の町村にも衝撃を与えた。

 村総会は議会を廃止し、有権者が予算などの議案を直接審議する仕組みという。人口減少が進み、各地で地方議会の担い手確保が難しくなっている。佐賀を含めて、人ごとではないと感じた自治体もあるのではないか。

 愛媛県境の山間部にある大川村は、村民の約45%が65歳以上。村議会は定数6で、次回村議選で2人以上の欠員が出れば、公選法の規定で再選挙となる。

 村長は議会で「どうすれば議会が維持できるのかを勉強したい」と述べ、問題点を洗い出し、年明けに結果を村民へ周知すると表明。次の2019年村議選で候補者が集まらない事態に備えて、総会設置も必要に応じて本格検討する。

 地方自治法に基づく町村総会の設置は、東京都の離島にあった旧宇津木村の1950年代の1件のみ。町村総会ならば住民の意見を直接、行政に届けることができる。一方で総会は予算審議などで年数回は開く必要があるが、会場までの移動手段や参加者への手当の有無など決めるべきことが多い。高齢化が進み、病院や福祉施設に入っているお年寄りも多いことを考えれば、実現には課題もある。

 このため高市早苗総務相は、町村総会の運営方法を議論する有識者検討会を7月に設置すると発表した。地方議員のなり手不足を解消する対策も話し合うという。なり手不足という点でみれば、大川村は「地方の縮図」といえる。

 15年統一地方選では、全国373町村議選のうち89選挙(23・9%)が無投票だった。佐賀県内でも基山町議選が無投票。区長会などから議員定数削減の要望が出ることもあり、町議会でみると、みやき町と有田町が定数16で最も多いが、上峰町、江北町、大町町は定数10で最も少ない。13年の町議選が無投票で、県内自治体では人口が最少の玄海町は2減して議員定数を10にする方針。

 なり手不足の上、定数を削減すると、顔ぶれが固定され、議論に幅が生まれず、ますます住民の議会離れが進む可能性もある。

 ただでさえ、現状は女性や60歳未満の割合が極めて低い。住民の構成と比べた場合に、偏りが見られるのは確かだ。佐賀県内の町議の報酬は月額25万円前後となっているが、手取りだともっと低くなる。議員は片手間ではできず、かといって報酬だけで生活するのも大変といわれる。大川村議の報酬は月額15万5千円と高知県内で最も低く、家族を支えていかなければならない若い人の立候補の意欲を削(そ)いでいる。

 今後の対策として、立候補に伴う休暇を保障する制度や、休職・復職制度の導入は有効だろう。公務員の立候補制限の緩和や、議員との兼職禁止の緩和についての議論も必要だ。

 執行部との車の両輪である議会のチェック能力の低下は、首長の暴走を許してしまい、最終的には住民自身がマイナスの影響を受ける。人口減社会の中で、この機会に首長と議会の二元代表制の意義をもう一度、問い直したい。(横尾章)

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