佐賀の染色文化について語り合う鈴田滋人さん(左)、田中嘉生さん(中央)、鈴田浩さん=佐賀市の佐賀大

■田中佐賀大名誉教授「禁欲的な表現面白い」

 「佐賀の染色文化」をテーマにしたシンポジウムが2日、佐賀市の佐賀大学本庄キャンパスで開かれた。国の重要無形文化財保持者(人間国宝)の鈴田滋人さん(63)=鹿島市=ら染色家3人がパネル討議し、作品づくりの魅力を伝え、伝統工芸の将来について考えた。

 シンポジウムに先駆け鈴田さんが「染の美を求めて」と題し、急逝した父・照次さん(1916~81年)の染色技法「木版摺更紗(もくはんずりさらさ)」を受け継いだ時の思いや、空間や植物の持つラインをどう簡略化した図案にしてきたかについて語った。

 続いて「佐賀の染色 未来への展望」と題し、鈴田さんら染色家3人が登壇した。県染織作家協会会長の鈴田浩さん(78)は着物や屏風、タペストリーなど多様な形態を挙げ、「見たり身に付けたりと多様な分野があって面白い。その中で使いやすさという『機能美』を考えないといけない」と指摘した。

 佐賀大名誉教授の田中嘉生さん(66)は「ものの形を直接描けるわけではなく、ワンテンポおいて考えないといけない。そんな禁欲的な表現が魅力」と語った。

 創作活動する上での個性の違いについて話が及ぶと、鈴田滋人さんは「組織からはみ出してくる人にどう目を向けていくか。伝統工芸界も非常に注視しないといけないし、新鮮な感覚を持ち続けるためにはいろいろな可能性を見いだしていくことが大事」と訴えた。

 シンポジウムは佐賀大美術館が10月9日まで開く「佐賀の染色文化」展に合わせて主催。約130人が来場した。

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