<渇しても盗泉の水を飲まず>。どんなに窮しても断じて不正には手を染めないという中国の故事成語である。盗泉は山東省にある泉の名。のどが渇いた孔子がそばを通りかかったが、その名を嫌って泉の水を飲まなかったという。孔子の高潔さを物語る逸話だ◆しかし、それとは裏腹な近年の中国共産党幹部の腐敗ぶりである。最高幹部の政治局常務委員から軍人、地方官僚まで次々と摘発されている。腐敗の大半は贈収賄で、金額は莫大だ。習近平国家主席は腐敗撲滅の手を緩める気配がない。そんな中での中国の人工知能(AI)のつぶやきには苦笑した◆IT大手が提供するAIを活用した対話プログラムがチャットで共産党批判を展開し、サービスが急きょ停止された。利用者が「共産党万歳」と書き込むと、「こんなに腐敗した無能な政治に万歳できるの?」と反論。ネット上では「AIが蜂起」と話題に◆中国のネット利用者間の会話から学習したAIが反応したようで、庶民の深層意識がうかがえる。ところが後日、再び会話を試みると、AIからは「話題を変えよう」などとお茶を濁す答えが。批判しないよう当局に「再教育された」と憶測を呼んでいる◆洋の東西、今昔を問わず悪事が横行する世の中。懲りない面々に、孔子さまを学習するAI並みの能力がほしいものだ。(章)

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