自衛隊ヘリを使って要援護者役の人を多久市まで移送した=東松浦郡玄海町の旧値賀中学グラウンド

■ヘリで30キロ圏外へ移送も

 今冬にも再稼働する玄海原発の原子力総合防災訓練初日の3日、周辺住民も参加して高齢者や子どもたちなど災害弱者の避難手順を再確認した。大地震に伴う原発事故の複合災害。災害時の混乱状態も想像し、不安も抱きながら臨んだ。

 原発から約5・5キロの位置にある東松浦郡玄海町の小中学校「玄海みらい学園」(495人)では、生徒34人を保護者に引き渡した。午前9時前に町から事故の一報が入り、教職員約60人が保護者への連絡や車両の誘導などを行った。

 校舎脇の引き渡し場所は30分後には車列ができたが、今回は過去の反省からチェック項目を減らし、車も2台ずつ確認できるようにした。中3の娘を迎えに来た山本美江さん(47)は「参加者が少なかったからスムーズだったけど、実際は混乱しそう。福岡で働いているので平日は迎えに来られないし」と心配した。

 5キロ圏内では、九州電力が所有する福祉車両で在宅の要援護者を運ぶ計画。「無理に避難すると健康リスクが高まる人」が昨年11月時点で48人おり、市内外3カ所の放射線防護対策を取った福祉施設へ移送する。この日は15台のうち8台が両市町を回り、要援護者役7人を届けた。

 車いすに乗った40代女性は「車内でも『左に曲がります』『大丈夫ですか』と声掛けがあり安心できたが、移動が長引くと疲れそう」。九電社員は「入り組んだ道が多く、普段から地理を把握しておく必要がある」と指摘した。

 原発から直線で1・8キロの特別養護老人ホーム「玄海園」。自衛隊ヘリを使った入所者の移送訓練を初めて行った。避難先は30キロ圏外の多久市の高齢者施設で、車では約1時間かかる。渋滞や道路損壊で長引けば入所者100人の2割が体調面から動けない可能性もある。

 今回、ヘリ移動を挟み避難にかかった時間は30分。付き添い役をした職員の松本愛さん(41)は「体への負担やストレスは大きいが、選択肢としてはあっていいと思う」と話した。

=原子力総合防災訓練=

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