佐賀市長選に4選を目指して出馬すると議会で表明し、会見した秀島敏行市長=佐賀市役所

■引退視野も後継者なく

 10月の佐賀市長選で4選を目指し出馬する意向を正式に表明した秀島敏行市長。引退を視野に後継者を探したものの断念し、一転、肝いりのバイオマス事業など市政継続を理由に出馬を決断した。現時点で対抗馬の具体的な動きはなく、関係者は「4選」に対する市民の反応を注視している。

 「苦渋の決断。悩ましい状況でなんとか出馬理由を語ったという感じだ」。市議の1人は秀島氏の答弁の印象をこう語る。

 秀島氏は答弁で「3期12年で一区切りをつけるという意味を込めて臨んだことは事実」と語り、引退を視野に3期目に取り組んできたことを認めた。水面下の後継者探しは3月ごろ、意中の副市長経験者に断られ、難航した。

 後援会内部にも「3期12年」の引退論はあったものの、6月の態度表明が近づくにつれトーンダウンした。秀島氏は、バイオマス事業の継続などを理由に、続投への強い意欲を周囲に示した。

 秀島氏が一般質問で述べた主な出馬理由は、オスプレイ配備計画で市民の一体感が損なわれることへの懸念▽バイオマス事業▽佐賀駅周辺整備▽発達障害児支援-の4点だった。

 自民系市議は「継続性の視点で見ると、本命はバイオマスだろう」とみる。一方で、オスプレイ配備計画に関する部分は、「唐突な印象。再選して何をするのか具体的なイメージが分からない」と首をかしげた。

 秀島市政は、トップダウン型の政治手法に反発し、対話路線を強調して誕生した経緯がある。ある市幹部は「出馬を決意した別の理由として、急進派の市長誕生を警戒した面もあるのでは」と推察する。

 現時点で、正式に出馬表明しているのは秀島氏だけで、一部の市議らに元国会議員を父に持つ佐賀市出身の官僚を推す声がある。

 JAさが幹部は「最後の仕上げをしてほしい」と秀島氏の4選を歓迎しており、「選挙に強い現職の出馬となれば、新人は慎重にならざるを得ない。無投票もあり得る」(自民系市議)。非自民の市議は「現職4選を市民がどう見るか。市政刷新を望む声が高まれば、対抗馬を推す動きが具体化するだろう」と世論の動向に注目する。

■秀島氏一問一答 これまでの課題、私の手で

 佐賀市長選への4選出馬を表明した秀島敏行市長の記者会見での主なやりとりは次の通り。

 -出馬を決めた理由を。

 市長 このまま退いていいのかという強い気持ちがあった。今後4年間でこれまでの課題を私の手で頑張りたい気持ちになった。

 -オスプレイに関し、調整の労を執るという言葉が出たが具体的には。

 市長 佐賀空港と自衛隊は共用しないという公害防止協定の覚書があり、しっかり話し合わなければいけない時期が来ている。混乱を招かないように、調整の労を執りたい。

 -無所属立候補になるのか。政党への推薦願は。

 市長 自分だけでは決められない、後援会と相談する形になる。

 -オスプレイについて市長は慎重な立場と思うが、配備計画に前のめりの自民党に推薦願を出す考えは。

 市長 政策は幅広く、オスプレイの問題はその中の一つ。そこまでは深く考えてはいない。

 -悩まれていた年齢、多選批判はどう整理したか。健康面は。

 市長 3期目を目指す時は総仕上げという言葉を使った。当時は4期目は想像もしていなかった。4期以上が多選だとは思わない。健康はそれぞれの体調の問題。自分ではまだやれると捉えている。

 -バイオマス事業は出馬の決め手になったか。

 市長 否定はしない。バイオマスは時間のかかる大きな事業。重きを置いている。

 

■経験豊富、期待と懸念 選挙戦で論戦望む声も

 佐賀市長選まで4カ月となる中、多選や年齢もあって去就が注目されていた現職の秀島敏行氏(74)が14日、4選出馬を表明した。市民からは豊富な経験への期待や、行政の停滞を懸念する声が上がった。今のところ、他に出馬を表明した人はいないが、選挙戦を望む意見も聞かれた。

 佐賀市神園に今春、働く親のための保育施設を開園した秋山広子さん(40)は「後継者が見つからず仕方なく出馬する感じも受ける」と態度決定までの印象を語る。ただ、「目標と志があれば年齢は関係ないと思う」とも話し、市長になる人には市民目線で生活向上に取り組む姿勢を求める。

 古湯地区の自治会長を務める山口澄雄さん(68)=富士町=は「多選批判もあるが、行政経験が豊富。地域の隅々まで知っている強みを生かし、総仕上げをしてほしい」。

 2005年の合併による新市誕生時に市長に就いた秀島氏。個人タクシー運転手の中島繁敏さん(73)=大財=は「4期目は行政のマンネリ化につながるのではないか」と危惧する。「新しいアイデアを持つ他の候補者も出てきて、企業誘致などで若い人が戻ってくるよう雇用に力を入れてほしい」と訴える。

 4年前の前回市長選では元県議会議長ら新人3人も立候補した。川副町の中島栄さん(83)は「無投票になるより、対抗馬が出たほうがいい。それぞれの主張をしっかり聞いてから選びたい」と選挙戦での論戦を期待した。

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