国の原子力災害対策指針を巡り開かれた、滋賀県の原子力防災専門会議=2日午前、大津市

 滋賀県は2日、県の原子力防災専門会議で、原発事故の際、原発からおおむね30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)の住民は原則的に屋内退避するという国の原子力災害対策指針に関し、退避期間や退避解除の指標を明確化するよう国に求めるとの意見案を明らかにした。【共同】

 4月の熊本地震で連続して大地震が起き家屋が倒壊した事態を受けたもので、県は「地震と原発事故の複合災害の際、屋内退避が最適なのか考えるべきだ」としている。

 今後、専門会議の有識者の指摘を踏まえ正式に意見をまとめる。各地の原発についても同様の懸念があるとみられ、注目されそうだ。

 原子力規制庁の担当者は「自治体とよく相談したい」と話している。

 滋賀県は北部の高島市と長浜市の一部が福井県の原発の30キロ圏に入る。

 滋賀県の担当者は「放射線量の高い時期の屋内退避は一定程度有効だろうが、大きい地震が続く際、物理的、心理的に屋内にとどまれるのか」と指摘している。

 意見案では、屋内退避から避難に切り替わるタイミングの明確化、妊婦や乳幼児といった放射線の影響を受けやすい人や日常的に医療が必要な要支援者が先行避難する仕組みの具体化、屋内退避の部分的な解除の仕組みの構築を求めた。

 専門会議は放射線医学や都市環境工学、自然災害科学などの有識者で構成。メンバーの三沢毅京都大原子炉実験所教授は「国の動きだしは鈍く、期待できない。県として独自の判断基準を設けることを検討しても良い」と話した。

 三日月大造知事は2日の記者会見で「国が『屋内にとどまって』と指示しても、熊本地震の家屋倒壊で見られたように、屋内でどこまで安全に過ごせるのか課題があり、国の指針を変えていく必要がある」と述べた。

■原子力災害対策指針

 原発事故が起きた際の住民避難の基本方針をまとめた原子力規制委員会の指針。2012年秋に策定されてから、改正が重ねられている。原発の5キロ圏は事故直後に避難、5~30キロ圏はまず屋内退避し、放射線量の上昇に応じて避難することなどを明記。関係自治体は指針を参考に、住民避難計画を作る。規制委は指針の改正案を年内にもまとめる方針。

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