東京都内の総合病院に勤めていた30代半ばだった産婦人科の研修医の男性が自殺したのは、長時間労働で精神疾患を発症したのが原因として、品川労働基準監督署(東京)が労災認定していたことが9日、分かった。遺族代理人の川人博弁護士が記者会見して明らかにした。時間外労働は最長で月約208時間に上っていた。認定は7月31日付。

 政府が3月にまとめた働き方改革の実行計画では、「最長で月100時間未満」などとする残業時間の上限規制について、医師への適用を5年間猶予。正当な理由なしに診療を拒めない「応召義務」があることを理由としているが、代理人の川人弁護士は「除外規定は過労死を放置、促進するもので撤回すべきだ」と指摘している。

 川人弁護士によると、男性は2010年に医師免許を取得。13年4月から総合病院で研修医として勤務し、15年7月12日に都内で自殺した。

 遺族側が、総合病院の電子カルテへのアクセス記録などを基に勤務実態を調べたところ、自殺する前の半年間の時間外労働は月143~208時間で、直前1カ月は約173時間だった。

 残業代は一部しか支払われておらず、休日も半年間で5日間のみ。当直勤務は月に4回程度で、当直明けの日が日勤だった場合は、拘束時間が30時間を超えることもあったとしている。

 男性の両親は昨年5月に労災を申請。9日に会見した川人弁護士を通じ「息子は研修医として激務に向かい、責任を果たそうとして破綻をきたした。労働環境が整備されなければこのような不幸が繰り返される」とのコメントを出した。病院は取材に「現時点では答えられない」とした。

 医師の過労自殺を巡っては、16年1月に亡くなった新潟市民病院(新潟市)の女性研修医に対し、労基署が今年5月、長時間労働が原因として労災認定している。【共同】

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