学校主催としては最後となる慰霊祭に寄せ、核廃絶と平和、亡き友への思いを語る中野隆三さん=伊万里市の伊万里商高

原爆投下時刻に長崎市の方向を向き、黙とうする参列者たち=佐賀市の佐賀商業高校

劇中で戦争の悲惨さを後生に伝える大切さを訴える部員たち=佐賀市の東与賀小学校

音楽物語の「一つの花」で合唱する4年生の児童たち=佐賀市立鍋島小学校の体育館

 長崎原爆の日の9日、県内でも慰霊祭があり、祈りに包まれた。学徒動員で長崎市にいた生徒が被爆し命を落とした伊万里商高と佐賀商高では、学友や在校生らが黙とうをささげ、犠牲者に平和を誓った。小学校では平和学習が行われ、72年前に起きた悲劇を学び、二度と繰り返さないと胸に刻んだ。

■13生徒犠牲最後の慰霊祭 伊万里商高同窓生高齢化で

 学徒動員で長崎市内の兵器工場で働いていた生徒13人が犠牲となった伊万里商業高校(熊谷正実校長)で9日、慰霊祭があった。同級生2人のほか、同窓生や生徒ら学校関係者が慰霊碑に花を手向け、恒久平和を誓った。

 原爆投下当時、同校の生徒77人が長崎市内に動員されて被爆したが、近年は生存者も半数となり、体調不良などで同級生の参加はわずかとなっていた。「自然消滅をするよりは、けじめをつけたい」との同窓生の意向を受け、学校主催としては今年が最後の慰霊祭となった。

 投下時刻の11時2分に同窓会館前の慰霊碑前で黙とうがささげられ、同校2年の生徒会長の金子文汰君が「戦争は最大の過ち。私たちは二度と起こさない努力をしなくてはならない」と追悼の言葉を述べた。

 犠牲者の同級生の中野隆三さん(87)は、7月に国連で採択された核兵器禁止条約に日本が参加していないことに触れ、「核の傘に依存する政府の思惑は分からないでもないが、あの地獄の苦しみは二度とあってはならない」と強調。「慰霊祭をやめても君たちのことは永久に忘れません。日本の平和がいつまでも続くよう見守ってください」と声を震わせた。

■佐賀商高でも「悲惨なできごと、二度と」

 長崎への原爆投下から72年となる9日、佐賀市の佐賀商業高校(吉松幸宏校長、当時は佐賀商業学校)で慰霊祭があった。長崎市の兵器工場へ学徒動員され被爆した犠牲者5人を弔うため、犠牲にあった生徒の同級生や教職員、生徒ら約40人が参列し慰霊碑に手を合わせ、原爆投下時刻の11時2分に黙とうをささげた。

 同校3年生の廣橋怜さん(17)は「私たちはこの悲惨な出来事を二度と繰り返さず次の世代に伝える責任がある」とあいさつ。

 5人の同級生の斉藤実さん(88)=佐賀市=は、国連で核兵器禁止条約が採択されたことについて「特別で感慨深い年だ」と語り「核兵器廃止への大きな前進となった。いつの日か核が世界からなくなり平和が訪れる日を」と願った。

 今年参加した同級生は4人。斉藤さんは「いずれ参加できなくなる日が来ると思うが学校や同窓会などが慰霊祭は続けると言ってくれているので、ずっと続けてほしい」と話した。

■高校生が演劇、平和学ぶ 東与賀小児童

 佐賀市の東与賀小学校で9日、平和集会が開かれた。高校生が演じる平和をテーマにした劇を通じて、原爆や戦争の悲惨さを後生に伝える大切さを学んだ。

 集会では、佐賀東高校の演劇部が童話「三びきのこぶた」をアレンジし、戦争や平和をテーマにした劇を披露した=写真。部員たちの熱演に、児童たちは真剣な表情で見入っていた。佐賀東高演劇部部長の岡石晏奈さん(17)は「戦争を下の代に伝えることは、争いのない未来につながることを知ってもらえれば」と熱く語った。

 集会後は、6年生が10月に予定している長崎への修学旅行に向け、全校生徒で平和の願いを込め、折り鶴を折った。東与賀小6年の村岡初姫さん(12)は「戦争のことを改めて知ることができた。家族や年下の子たちにも伝えていきたい」と話した。

■朗読と歌で平和の願い 鍋島小で全校集会

 佐賀市の鍋島小は9日、平和集会で全校児童873人が歌や絵本の朗読による音楽物語を演じ、平和への思いを深めた。

 戦地の父を思う少女ゆみこを描いた絵本「一つの花」を題材に発表。4年生が物語を朗読し、全校生徒が歌やリコーダーを演奏した。最後に人権推進委員24人が「鍋島小から平和をつくろう」と宣言。現在世界中で起きている紛争地の状況や原爆投下後の被爆地の光景、犠牲になった子どもの姿などをスクリーンに映し出した。

 朗読した4年の前田真桜さん(9)は「ゆみこのお父さんが戦争に行っても、ゆみこは泣くのを我慢した。悲しい思いが増える戦争はしてはいけない。いじめや暴力が世界に広がれば戦争になっちゃうから、鍋島小から一つ一つなくしていきたい」と話した。

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