甲子園でベンチ入りを果たした3年生の石川翔平(中央)=同校グラウンド

■結束力武器に強豪へ挑む

 佐賀大会決勝。唐津商のスタンドに、ひときわ大きく声を張り上げる選手がいた。3年生で唯一ベンチ入りを逃した石川翔平。下級生と声を合わせて「エンヤ!エンヤ!」と応援を盛り上げ、「まだ気を緩めるな」「ナイスキャッチ」とナインを鼓舞した。

 「あいつのために一つでも多く勝ちたかった」。大会後、井上樹希也主将や4番百武泰成ら主力の3年生は、勝因を尋ねられると必ず石川の名前を挙げた。石川は唐津商の躍進を支えたチームワークの中心にいた。

 石川は168センチ、62キロ。決して恵まれた体格ではないが、まじめな性格で3年間、こつこつと練習してきた。仲間にも認められ、井上らと一緒にレギュラー入りを目指して取り組んできた。

 迎えた最後の夏。石川はベンチ入りメンバーから外れた。しかし、「自分に力がなかったから」と腐らなかった。もちろん悔しかったが、すぐに気持ちを切り替えた。「自分にできることをやるだけ」と、これまでと変わらない態度で練習に取り組み、献身的にレギュラーをサポートした。

 実は佐賀大会に臨む前、唐津商のチーム状態は良くなかった。昨夏の決勝で敗れ、目前で甲子園を逃した経験がある3年生には「ことしこそ」という強い思いがあったが、昨秋、春、NHK杯と続けて敗戦。「昨年より打力はある」と言われながら、選手の気持ちがまとまらず、打線もつながらなかった。

 ところが、石川がベンチを外れたことが、皮肉にもナインの心を一つにした。佐賀大会で試合を重ねるごとに、スタンドで必死に応援する石川が目に留まった。「あいつの気持ちに応えたい」。単純だが強いその思いが、目の前の一戦一戦にナインを集中させた。

 佐賀大会で優勝した翌日、甲子園のベンチ入りメンバーが発表された。

 「背番号18、石川」

 吉冨監督は、甲子園で戦う糧となるチームワークに石川を必要とした。

 「自分の代わりに外れた下級生がいる。死ぬ気で頑張らないと」と石川。唐津商は、吉冨監督が佐賀大会で「最高だった」と認めた強い結束力を武器に、全国の強豪に挑む。

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