玄海原発の再稼働に関し佐賀新聞社のインタビューに応じた原子力規制委員会の田中俊一委員長=東京・六本木

 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)が再稼働の前提となる新規制基準に適合していると認めた原子力規制委員会。県民向け説明会が始まるのを前に、田中俊一委員長が佐賀新聞のインタビューに応じた。安全審査に合格したことの意味について、「原発から5キロ圏外の住民に急性の放射線被ばくで問題が生じることはあり得ない」と明言し、慌てて避難するリスクを踏まえた上で、確実に屋内退避できる環境整備と住民理解が必要であるとの認識を示した。

 規制委が作成した原子力災害対策指針では、重大事故時に5キロ圏の住民は即時避難するが、5~30キロ圏はまず屋内退避し、放射線量の上昇に応じて段階避難することになる。

 田中氏は「福島第1原発の事故でさえ、サイト内外で放射線被ばくによる健康影響は一人も出ていない」とした上で、避難した際の負傷の悪化などで亡くなった震災関連死は5年で2千人以上に達していると強調した。

 「慌てれば慌てて逃げるほど犠牲が出る。逃げずに屋内退避するのは福島のトラウマがあって難しいのかもしれないが、住民に正しく理解していただけるよう、機会があれば玄海地域の離島などに出向いて直接説明してもいい」と語った。

 これまで田中氏は審査に合格したとしても、「絶対的安全を保証するものではない」と発言してきた。

 「要求している規制のレベルは福島のような事故を二度と起こさない、相当に厳しいものだ。それは長期避難の必要がないほどだが、想定を超える事故が起こらないとは誰にも言えない」と指摘し、「『絶対安全』を信じたいのは住民の率直な心情だと思うが、われわれがそれに迎合した途端、規制行政は死んでしまう。より安全を求める姿勢がストップするからだ」と理由を説明した。

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