画面に映るフィリピンの先生と英語でやりとりする子どもたち。タブレット端末は反転授業以外でもいろいろと活用されている=武雄市の東川登小

■1人1台英語、食育に威力

 「タブレット端末が1人1台あることが大きかった」。昨年1月、インターネットで武雄市の小学校とフィリピンの会場を結ぶ英語の授業を始めた「アゴラ ワールドワイド」(東京)の担当者は、武雄市を提携先に選んだ最大の理由に「1人1端末」を挙げた。

 授業ではALT(外国語指導助手)が英語を教えた後、ネットの音声映像サービス「スカイプ」を使ってフィリピンの先生がいる会場を呼び出す。タブレット端末に映る先生に、児童は習ったばかりの英語を早速使ってみる。「おお、通じた」と歓声が上がる。3校での試行を経て、本年度からは小学校全11校の6年生に月1回程度行っている。

 タブレット端末は2014年4月、市内の全小学生に貸与された。関連機器を含めた導入費は3153台で約1億2300万円。15年には約9500万円をかけて1550台を導入、全中学生にも貸し出された。16年には1千台を約7200万円かけて更新した。

 「1人1端末」の恩恵は英語の授業にとどまらない。若木小では14年度から健康総合企業のタニタと連携した食育を実践。タブレットを使って毎日3食の内容を入力したり、身長や体重、脂肪量、歩数などをデータ化したりして健康管理に取り組んだ。

 家庭も巻き込んだ食育で果物や牛乳の摂取が増えて栄養バランスが向上している。家庭の食卓も変わり、「食事内容を見直した」家庭が4割を超えた。この取り組みは、今は3校に広がっている。

 昨年11月からは、不登校の子の学習支援にもタブレットの活用を始めた。小学4年から中学3年まで5教科ずつある民間の教材を利用し、学年に関係なく習熟度に合わせて学べる。今は20人が活用、家庭で学ぶ。プログラミング学習に使っている小学校もある。

 スマイル学習(反転授業)以外のさまざまな授業での効用を挙げる教諭も多い。「跳び箱やマット運動、水泳など体育で撮影すると、悪い点やコツが分かりやすい」「歌や楽器演奏などの発表で緊張してしまう子は、家で録画した内容にすると実力が分かる」「理科の植物観察、町の探検など活用分野は幅広い」といった声が上がる。

 導入当初、タブレット端末の評判は決して良くなかった。児童が一斉にアクセスすると端末がフリーズ。授業は度々中断し、「ICT支援員がいないと授業できない」という声も多かった。

 3年を経て、武雄市の教育現場に多様な恩恵をもたらすことが見えてきたタブレット。評判は変わりつつある。

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