身近な社会問題をテーマに「賛成」「反対」それぞれの立場から発表する生徒=佐賀市の致遠館高

多様な意見に耳を傾けることの大切さを学んだ出前授業

 「どちらの意見にも納得できる理由があり、それを決定するのが投票なんだ」-。佐賀新聞社が3月下旬、佐賀市の致遠館高で1、2年生約480人を対象に開いた主権者教育の出前授業。消費税増税などについて「賛成」と「反対」とに分かれて意見交換した生徒たちは、社会には多様な意見があることを知り、それを解決する手段の一つが「投票」であることを学んだ。さらに、投票するには自分の意見を持ち、どちらかを選ぶには情報が必要という気づきも得た生徒たち。もうすぐ18歳となり、選挙権を得て政治に参加する意義や、主権者としての自覚を芽生えさせた授業の様子や生徒たちの感想を特集する。

▽「自分なりに考え投票しないと」

 授業では生活に身近な社会問題を二つ取り上げた。体育館の中央のラインで仕切り、各テーマについて賛成か反対かを自分で判断し、両サイドに移動して、それぞれが意見を発表する形式。生徒たちは真剣に意見を交わした。

  ■ 救急車の有料化 ■

 大半の生徒が「反対」に移動した。救急車を呼ぶのにお金がかかると「お金を持っていない人が困る」との意見には、多くの生徒がうなずいた。

 一方、賛成の生徒からは「医療措置をするならお金を払っていいのでは」という意見や「呼ぶ必要がない人も呼んでいる」と現状を問題視する意見も出た。

 会場での意見発表のほか、生徒が記入したプリントからは「救急車を必要としない人にとっては無駄な税金を省ける」との賛成意見や「街中で倒れた人のために(救急車を)呼んでくれる人がいなくなるかもしれないから反対」という意見まで、さまざまな声が寄せられた。

  ■ 消費税増税 ■ 

 反対が賛成より2倍多かった。多くの生徒が「財布が苦しい」などと話し、「自分の問題」として受け止めている様子が見て取れた。

 これに対し賛成派は「国のお金が増えると、地方で使えるお金が増える」「災害など急なことがあったときに使えるお金がないと困る」と、「自分のこと」というよりも、「国全体のこと」を考えて意見した。

 プリントからは「福祉施設やサービスを充実させるために増税すべき」「低所得者からも平等にとられる税だから簡単に増やしてほしくない」と賛否両論の声があった。

 ■ 議論を通して ■

 反対の立場の意見にも耳を傾けることで、考えが深化したようすの生徒たち。ある生徒は「投票するときは、自分なりの解を出して臨まないといけない」とアンケートに書いた。

 賛成・反対、それぞれの論理が飛び交う中で「国のいろいろな判断が国民に委ねられている」と投票が国政に関わることに気づいた生徒も。また「政治に関心を示していかなければならない年齢になった」と“18歳”を改めて意識した、という生徒もいた。

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