諫早干拓の潮受け堤防排水門の開門差し止めを命じた17日の長崎地裁判決の要旨は次の通り。

 【違法性の判断】

 開門差し止めを認めるべき違法性の有無の判断は、開門の態様と程度、侵害される利益の性質と内容、開門の公共性や公益上の必要性の内容と程度を比較するほか、被害防止措置の有無と内容、効果などを総合的に考察して決めるべきだ。

 【開門による被害】

 国が予定する開門方法は現状の調整池の管理水位を維持したまま、調整池に海水を導入するもので、農地に塩害や潮風害、農業用水の水源の一部喪失が発生する可能性が高い。営農者の生活基盤に直接関わるため重大だ。

 【開門の必要性】

 他方、開門しても諫早湾や有明海の漁場環境が改善する可能性や改善の効果はいずれも高くない。被告側補助参加人(開門派の漁業者側)は漁場環境が改善される効果があるとしているが、(門の開閉と環境悪化の因果関係を認めない)国の主張と抵触するため、採用できない。

 また、開門し、諫早湾の奥を潮受け堤防で閉め切ったことと漁獲量減少との関連性などを調査し、公表するのは一定の公共性、公益上の必要性があるが、解明の見込みは不明だ。開門により多数の原告の農業は重大な被害を受ける恐れがあることに照らすと、公共性や公益上の必要性は相当減殺される。国が予定する事前対策の実効性に疑問もある。各事情を総合考慮すると、差し止め請求を認める違法性がある。

 【他の開門方法】

 排水門を全開して調整池に海水を入れる方法などもあるが、農業に被害が発生する恐れがあるほか、一部漁業者の養殖場や漁場の浮遊物質量が著しく上昇する可能性が高く、漁業にも被害発生の恐れがある。さらに現状より程度の大きい(高潮などの)湛水(たんすい)被害が発生し、住民が平穏に日常生活を営む人格的利益が侵害される恐れがある。これらの開門方法についても違法性がある。

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