28日の衆院解散を表明した安倍晋三首相の会見で、テレビ中継に見入る女性=25日夕、佐賀市川副町の佐賀空港

 「『大義』が無理やりな感じ」「説明責任よりも政権維持を優先した身勝手な解散」-。安倍晋三首相が会見で衆院解散を表明した25日、佐賀県内の有権者からは首相の政治姿勢を問う声が相次いだ。

 消費税を10%に引き上げた場合の増収分を、国の借金返済から幼児教育の無償化などに振り向ける使途変更を掲げた首相。4月に長女が誕生し、育休中の会社員藤野直美さん(36)=佐賀市=は「無償化はありがたいけれど、解散する理由には結びつかない」と違和感を口にする。「待機児童問題が続く中、施設整備や保育の人材の確保は本当に追いつくのかな」。構造的な問題の改善につながるのか、見通せないでいる。

 首相は北朝鮮への圧力路線についても「信を問う」と述べたが、自衛隊駐屯地がある神埼郡吉野ヶ里町の目達原地区区長、中山重幸さん(71)は「筋違い」と批判する。国防の論議は冷静に行うべきと主張し、北朝鮮問題を強調しすぎると「世論をおだやかではない論議に誘導してしまう」と心配する。

 企業の設備投資などを促す新たな経済政策として打ち出された「生産性革命」。タイやシンガポールへの輸出を手掛ける佐賀市の家具メーカー社長平田尚士さん(50)は「ものづくり企業にとっては心強い」と評価する。政策の具体化に向けては「個人消費が低迷する日本の市場は小さい。海外輸出を円滑にする施策も打ち出して」と注文する。

 森友・加計(かけ)学園絡みの疑惑には依然として厳しい視線が注がれている。「解散は、いろんな問題から視線をそらしたいという都合しか感じられない」。鹿島市の会社員男性(38)は不信感を募らせている。

 有明海の漁業者は諫早湾干拓事業の開門問題や自衛隊新型輸送機オスプレイの佐賀空港配備計画など、国策に翻弄(ほんろう)され続けている。佐賀市川副町のノリ漁業者川崎賢朗さん(56)は政治への不信感が拭えず、今回の衆院選も「期待はしていない」と冷ややかだ。配備計画を巡っては、駐屯地が建設された場合の排水がもたらすノリ漁場への影響を懸念する。「私たちの生活がきちんと守られるように、どれだけ親身になってくれるのか」。論戦の行方を見極める。

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