相撲史上に残る強豪力士の筆頭に挙がるのが、江戸後期に大活躍をした雷電為右衛門(らいでんためえもん)である。数々の浮世絵になったほどの人気者で身長197センチ、体重は169キロあったと伝えられる◆幕内通算で254勝して負けはわずかの10敗という驚異的な強さだった。まともにぶつかったら相手がけがをするので、その最盛期には雷電の張り手、鉄砲突き手、閂(かんぬき)の三つの手技が「禁じ手」にされたという。史実として実証されてないが、彼の強さを物語る挿話である◆さて、こちらの禁じ手は後世、どう評価されるだろう。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を巡り、与党が参院法務委員会での採決を省いて本会議採決に持ち込む「中間報告」を仕掛けた◆複雑で重要な法案なのに、このやり方は、与党自ら議会制民主主義を否定する自殺行為との批判が上がるのも無理はない。加計(かけ)学園問題のゴタゴタもあり、東京都議選への影響も最小限にと考えたのかもしれない。だとしても横綱相撲のように、正々堂々とやればよかった◆「力士の手は刀」といわれる。強すぎたら凶器になるからだ。雷電の禁じ手の話は、強い者ほど力は抑制的に使わなければならないという戒めともとれる。「安倍1強」政権、自民の数は圧倒的だが、強気の戦術が今後、吉と出るか凶と出るかは分からない。(章)

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