「夏酒の種類が増え、女性にも人気」と話す酒処のこ女将の坂元法子さん=佐賀市白山

■すっきり甘口、引き立つ香り

 ビールなどに押され気味だった夏の日本酒がじわり人気を集めている。需要が落ち込む夏場対策にと、佐賀県内でもすっきりとした味わいの夏向け商品を手掛ける日本酒メーカーが増加。飲み始めたばかりの人や女性でも親しみやすいように工夫され、6~8月の出荷量が10年前に比べて6倍になった酒蔵もある。

 「夏酒は飲みやすく、女性に人気」と話すのは、県産酒を豊富にそろえる佐賀市の酒処(どころ)「のこ」女将(おかみ)の坂元法子さん。「季節限定」の響きに引かれ、数種類を飲み比べる客も多いという。

 天吹酒造(三養基郡みやき町)が手掛けた甘口の夏酒「大吟醸 夏色」は、甘い香りとさっぱりとした口当たりが特長。イベントなどで消費者の声を聞き、改良を重ねた看板商品だ。

 「夏は辛口というイメージがあったが、甘口が好きという声も多かった」と担当者。大吟醸ならではのコメの自然な甘さも人気で、夏酒全体の出荷量は、この5年ほどで4倍に増えているという。

 酒蔵は一般的に新酒の仕込みが始まる11月から3月ごろまでが繁忙期。夏場はビール類や焼酎に押されがちで、多くの蔵元も「年間で最も需要が減る時期」と口をそろえる。

 通年で日本酒を味わってもらおうと、天山酒造(小城市)が手掛けた夏酒のテーマは「汗をかいた後でも欲しくなる」。「夏吟」と名付けた吟醸酒で、アルコール度数を通常よりも約4度下げて飲みやすくした。

 以前は冷やして飲む生酒を販売していたが、夏にはしっかりした味わいが重たく感じられることもあり、売れ行きはいまひとつ。夏吟は冷やしても香りが引き立つように工夫し、女性ファンも多いのが特徴だ。

 こうした季節限定酒が火付け役となり、6~8月の売り上げは年々伸長。夏吟にとどまらず、同時期の出荷量は10年前の6倍に増えたという。

 飲食店などに日本酒を販売するしめなわ酒店(佐賀市)では、扱う夏酒の種類がこの5年ほどで2倍に。注文数も右肩上がりといい、「選択肢が広がって知名度も上がった。料理に合わせやすいとの評判も聞く」と人気の秘けつを語る。

 県内で一足早く夏酒を手掛けてきた天吹酒造は「春や秋よりも販売期間が長く、冬に次ぐ市場になる」と期待。ライバルが増える中、新商品の販売も見据えている。

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