1本のたすきをつないでいく。その醍醐味(だいごみ)が詰まった本県の県内一周駅伝は過去、語り継がれる名ランナーを生んできた。1961(昭和36)年、第1回大会での快走で伝説をつくったのが佐賀市の西良人さん(故人)だ。今も最大の難所とされる初日の鳥越峠(塩田-嬉野間)で、韋駄天(いだてん)ぶりを見せた◆霧雨にけむる中、3位でたすきを受けると300メートル先を先行する鳥栖A、神埼を峠で瞬く間に追い抜き、最後は2位に2キロ近い差をつける走りで、佐賀市を優勝に導いた。「そのころは腕時計もなくペース配分なんて考えない。いけるところまで突っ走った」と後に回想している◆当時、チームメートだった佐賀陸上競技協会会長の末次康裕さん(74)=佐賀市=は「坂道に強く、特に下りはすごかった。神様みたいに仰ぎ見る存在だった」と振り返る。西さんは九州一周駅伝でも10回の区間賞に輝いた◆そんな鬼神の走りの再来が期待される、第57回県内一周駅伝は、きょう号砲。13チームが3日間にわたり、31区間250・7キロで健脚を競う。鳥越峠を含む初日の11区(鹿島-嬉野間)は大会最長区間で、各チームのエースがぶつかるのは昔と変わらない◆沿道の声援を力にして、県内のトップ選手が郷土の誇りとともに肥前・松浦路を駆け抜ける。選手たちの力走が春風を連れてくる。(章)

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