全国の児童相談所が2015年度に対応した児童虐待の件数は、前年度比16%増の10万3260件(速報値)で過去最多を更新したことが4日、厚生労働省のまとめで分かった。1990年度の集計開始以降、25年連続の増加で初めて10万件を突破。この10年間で3倍に増え、児童虐待が後を絶たない現状があらためて浮き彫りになった。【共同】

 厚労省は増加の要因として、子どもの前で配偶者らに暴力をふるう「面前DV」に関し、心理的虐待と捉えて警察が通告する事案が増えたと指摘。専門家からは、地域からの孤立家庭の増加や経済格差の問題が背景にあるとの見方が出ている。

 15年度に全国208カ所の児相が相談や通告を受けて対応した事例を集計した。都道府県別(政令市なども含む)では大阪が1万6581件で最多。次いで神奈川が1万1595件、東京9909件、埼玉8279件だった。最少は鳥取で87件。島根155件、佐賀237件と続いた。佐賀は前年度に比べて47件増で、増加率は1・25倍だった。

 前年度からの増加率では長崎(1・64倍、495件)、高知(1・61倍、379件)、岩手(1・51倍、589件)などが高かった。

 内容別では、暴言や面前DVによる「心理的虐待」が4万8693件で47・2%。「身体的虐待」が2万8611件(27・7%)、「育児放棄(ネグレクト)」が2万4438件(23・7%)、「性的虐待」が1518件(1・5%)だった。

 相談の経路は警察からの通告が37%で、隣人・知人が17%、家族と学校がそれぞれ8%など。

 厚労省は昨年7月、相談を24時間受け付ける全国共通ダイヤル「189」の運用を開始。以前は番号が10桁だったが、3桁化してから相談が増え、15年度に児相が受けた電話は前年度比2・9倍の2万9千件に上った。

 4日午後、厚労省で開かれた全国児童相談所長会議で、同省の担当者は、改正児童福祉法に盛り込まれたベテランの児童福祉司配置などの対応に関し、現場と密接に情報交換する考えを表明した。

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