EPA制度で来日し、介護現場で働くインドネシア出身の女性(中央)ら=鹿島市の介護老人保健施設「ケアコートゆうあい」

 佐賀県内の介護現場で外国人を受け入れる動きが広がっている。新年度から、介護福祉士の国家資格を取れば日本で働き続けられるようになり、養成校への留学が増加している。技能実習生を活用できる選択肢も加わり、人材不足に悩む関係者は熱い視線を送るが、介護の質を維持できるか懸念する声もある。

 「最初は不安でいっぱいでしたが、職員の皆さんの指導のおかげでやり遂げることができました」。今月10日、佐賀市の佐賀女子短大で介護福祉専攻の卒業研究発表があり、ベトナム人留学生グェン・ティ・フワさん(25)が5週間にわたる実習の感想を語った。

 ▽在留資格緩和 

 フワさんは佐賀女子短大で介護を学ぶ初の留学生で、実習先だった鳥栖市内の特別養護老人ホームへ4月に就職する。施設側は「今後も海外から受け入れるので、リーダー的存在になって」と期待を寄せる。

 昨年11月、外国人が介護福祉士の国家資格を取れば在留資格が得られるように入管難民法が改正され、短大や専門学校の養成課程への留学生が急増している。佐賀女子短大ではフワさんに続いて本年度にフィリピン人1人、2017年度はベトナム人とネパール人計3人が入学する予定で、ここ数年、定員割れが続く短大にとって朗報になった。

 これまで介護現場への外国人受け入れについては、インドネシアなど東南アジア3カ国との経済連携協定(EPA)に基づくルートしかなかった。「自国で看護学校を卒業していること」など条件は厳しく、県内の受け入れは9年間で5施設16人にとどまっていた。それが、技能実習生も介護現場で働けるように法が整備され、県内の実習生派遣業者は「受け入れは着実に増える」とみている。

 厚生労働省の推計では、団塊の世代が75歳以上になる25年には介護職員が全国で約38万人、県内では約600人不足する。国は待遇改善など国内での人材確保に力を注ぐものの人手は増えず、外国人の受け入れ拡大にかじを切った格好だ。

 ▽パートナー 

 受け入れ条件を緩和することで、介護の質が低下しないか心配する声もある。佐賀女子短大で留学生を指導する前山由香里准教授は「書くことや話すことに苦労しても、聞き取る能力はあるので、あまり心配はない」と受け止めているが、実習生の場合は出稼ぎ目的のケースも少なくなく、必要な知識や技能をいかに習得するかは課題になる。

 EPAで介護や看護職の24人を受け入れてきた鹿島市の医療法人「祐愛会」の織田正道理事長は「アジア全体が高齢化する中、何年か後に慌てて外国人を受け入れようとしても来てくれるとは限らない」と指摘する。その上で「労働力の補充と捉えるのではなく、地域医療を支えてくれるパートナーとして、受け入れ態勢を充実させなければ」と強調する。

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