スマイル学習をはじめ、武雄市の教育改革について語る浦郷究教育長

■予想以上の成果、可能性

 武雄式反転授業「スマイル学習」の現状や課題を報告した。連載の最後は武雄市の浦郷究教育長(66)に、スマイル学習の現状分析や今後の方向性、さらに民間学習塾「花まる学習会」と連携した官民一体教育など一連の市の教育改革について聞いた。

 -「スマイル学習」が始まって間もなく3年になる。まず総括を。

 「小中学生に1人1台、タブレット端末を提供しよう」ということから始まり、その活用策の一つとしてスマイル学習も始まった。ICT(情報通信技術)教育に可逆性はない。タブレットで学ぶスタイルも身に付いてきたし、「家庭学習と学校の学びをつなげる」という目的も保護者を含めて理解は広がっていると思う。

 -スマイル学習の授業実施率が低い。高くても5割程度だが対策は。予習動画の改善を求める声もある。

 タブレット端末の不具合で授業に使えないことがあったので、機器を更新して不具合を減らしている。予習動画を一括ダウンロードできるようになり、先生の負担も軽減できるので実施しやすくなる。予習動画は小学生の分で改善が必要なものもあると考えている。

 -スマイル学習によって学力は向上しているか。そもそも狙いは学力向上か。

 導入の目的は「学習習慣を身に付け、学校での学びにつなげる」ことだ。その結果として学力に反映されるべきと考えている。今は数字に表れていないが、全授業に占める割合や実施率が低いことが一因とも考えられる。実施率の高い中学校で数学の成績が伸びた話も聞く。成績との関係を見るための試みを小学生でやったので、結果を分析したい。

 -スマイル学習の今後の方向性は。科目や単元、対象学年など拡充するのか。

 今のところ増やすつもりはない。教科や単元で向く場合と向かない場合がある。当面は今のままで予習動画の改善などを進める。

 -武雄の教育改革は「全児童へのタブレット端末貸与」「スマイル学習」「官民一体型学校」を三本の矢とし、「三本の矢の化学反応」を期待していた。「化学反応」は起きているか。

 共通していることは一人ひとりの学びや育ちを確かにしていくこと。その意味で予想以上の成果と可能性を見ている。子どもがタブレット端末を使いこなし、スマイル学習だけでなく、海外と結んだ英会話授業や食育、プログラミング教育などに取り組んでいる。1人1台の端末があったからこそできたことで、効用は大きい。官民一体型学校では物おじせず発表できる子が増え、元気が出て、一人ひとりの存在感が増した。地域の方も参加していただき、学校と地域の垣根も随分低くなった。先生方の努力にも感謝している。未来に生きる子どもたちのために頑張っていきたい。

■まとめ読みは こちら

=おわり 

 (連載は武雄支社・小野靖久が担当しました)

このエントリーをはてなブックマークに追加